東レ「アクスター」/年内のフル稼働目指す/サステイナブル対応も検討

2021年09月22日 (水曜日)

 東レの不織布事業部は2021年度、増産を実施したポリエステルスパンボンド(SB)「アクスター」で、フィルター向けを伸ばし、年内の設備フル稼働を目指す。

 アクスターでは、環境規制の強化に伴い工業用フィルター需要が拡大するとみる。剛性と均一性に優れた高性能フィルター素材の開発に合わせて30%の増産投資を実施し、年産1万㌧体制を構築した。

 昨年は工場のロックダウン(都市封鎖)などで荷動きが悪かったフィルター向けは既に反転。アクスターでは「年内のフル操業」(松下達不織布事業部長)を目指し販促を強化する。

 サステイナブルへの対応も検討する。自社工場で発生したフィルムくずなどの再利用やポリ乳酸使いで「改めて市場開拓に取り組みたい」考えだ。

 ポリプロピレンSBを含め2020年度は、新型コロナウイルス禍に伴う特需もあり、「19年度の業績を上回った」。21年度もアクスター中心の拡販で前年度超えを計画する。

 主力の紙おむつ向けPPスパンボンドは、乳幼児用の伸びが鈍化していることを懸念しており、紙おむつメーカーが製品をリニューアルする際にニーズに沿った新規原反を打ち出し拡販を目指す。

 中国・仏山の生産拠点はフル操業を続ける一方、インドの生産拠点はロックダウンの影響を受けており、次の設備投資については「慎重に見極めたい」としている。