クラトレ上海/21年は過去最高益へ/化成品、繊維ともに好調

2021年09月28日 (火曜日)

 【上海支局】クラレトレーディングの中国法人、可楽麗貿易〈上海〉(クラトレ上海)が、2021年通年業績の過去最高益更新を視野に入れている。自動車と家電向けの樹脂や、フィルムなどの化成品の中国内販がけん引する。繊維事業も回復している。

 特にテレビ向け液晶パネルが好調。パネルの大型化と、製造基地が中国にシフトしていることが背景にある。新型コロナウイルス禍でテレビ需要が世界的に増えていることも追い風だ。

 ただ原料供給がタイトになっており、中国経済の先行き不透明感も増していることから、今年後半は「楽観していない」(佐野彰彦董事長)。

 製品ODMと、高機能原料の内販が中心の繊維事業も回復している。8月までの売り上げは双方ともに好調で「19年並みに戻りそうな勢いだ」と佐野董事長は話す。

 日系スポーツブランドがメイン顧客の内販向けODMは、国内スポーツ市場の好調や、新型コロナ禍で縫製がASEAN地域から中国に回帰していることが、プラスに働いている。市場の高度化も同社を後押しする。「ポリエステル長繊維『クラベラ』などの差別化素材の提案が、うまくはまっている」(佐野董事長)と言う。

 高機能原料は、ウールとカシミヤ紡績工場向けのポリビニルアルコール(PVA)繊維(ビニロン)を中心に、引き合いが戻っている。高強力ポリアリレート繊維「ベクトラン」も、工業から産業資材用途まで、新規開発が進み、実績を上げている。