東レ 不織布・人工皮革事業部門/19年度超えに手応え/「ウルトラスエード」フル稼働前倒し

2021年08月02日 (月曜日)

 東レの不織布・人工皮革事業部門は自動車業界の復調に伴い「ウルトラスエード」の販売を急回復させているほか、紙おむつ向けスパンボンドも堅調に推移していることから、2021年度は「19年度を超える業績に回復できる」(西村誠不織布・人工皮革事業部門長)との手応えを示している。

 20年度は新型コロナ禍で苦戦を強いられたものの、ウルトラスエード事業は主力の自動車内装材向けが7~9月期から回復。紙おむつ向けのポリプロピレン(PP)スパンボンドでは、中国・仏山のTPFが昨年春以降、フル操業へと転じインドTIDは昨年10月から動き出し垂直的フル操業を実現した。

 21年度はウルトラスエードの販売量を急回復させており、4~6月期の販売量は前年を大きく上回ったほか19年度4~6月期と比べても超過達成になったという。

 再生ポリエステル、部分バイオポリエステルによる商材のウエートを全体の8割まで引き上げてきており、早急に「&+」(アンドプラス)使いをラインアップしたい考えだ。

 20年度からの中期経営課題では23年度でフル稼働させる計画だったが、最近の好調を踏まえ「1年半以上、前倒しできるめどがついた」としている。このため、次期増設についての検討を開始した。

 PPスパンボンドでは、新型コロナウイルス禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響でインドTIDがフル操業には至っていないものの、それ以外の国内外の拠点は通常の状況を維持している。

 中国での需要の伸び悩みから全体的な市況は停滞気味で推移しているものの、衛材メーカーが強化する大人用紙おむつにマッチした原反の開発に重点的に取り組み、今後は大人用で拡販を計画する。

 ポリエステルスパンボンド「アクスター」では6月に30%の増産投資を実施。東レが主力用途として取り組む工業用の集塵(じん)フィルターでは、中国や新興国市場で環境規制が強化されるに伴い、集塵効果向上、圧力損失低減につながる高性能フィルター素材への要求が高まっているという。

 このほど剛性、均一性をアップさせた次世代型の原反を開発した。これを機にアクスターの生産体制を拡充するとともにグローバルな顧客ニーズへの対応に力を入れていく。