東レ ウルトラスエード事業/フル操業前倒し目指す/次期増設の検討にも着手

2021年11月12日 (金曜日)

 東レは人工スエード「ウルトラスエード」で環境配慮型の拡販に力を入れる。同タイプが全販売量に占める比率は2020年度で60%に到達しており、21年度で65%前後に引き上げ、「早急に100%にしたい」(安東克彦ウルトラスエード事業部長)との意欲を示す。

 20年度、ウルトラスエードは新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられたものの、21年度上半期は「19年度上半期を上回る勢いを取り戻した」と言う。

 年産1千万平方メートル体制に増設後、当初計画では23年度中にフル操業させる計画だったが、現在の勢いを踏まえ「22年度のできれば上半期中にフル操業させたい」考えだ。

 環境配慮型として、リサイクルポリエステル使いの「ウルトラスエードRX」、部分バイオポリエステル使いの「同PX」、ウレタンも部分バイオ化した「同BX」という3タイプの環境配慮型をラインアップしており、白度、トレーサビリティーにこだわって開発したペットボトル再生ポリエステルによる「&+」(アンドプラス)による新タイプの完成を急いでいる。

 主力の自動車内装材では、21年度もスバルの「BRZ」、ドイツBMWの電気自動車(EV)「iX」などに採用されており、中国EVメーカーからの引き合いも引き続き旺盛と言う。

 今後、自動運転が普及するに伴い車内空間のラグジュアリー化を求めるニーズが強まるとみており、ウルトラスエードのサステイナブルな物性、上質感、ブランド力を「前面に打ち出し、自動車内装材向けを伸ばす」方針。

 ウルトラスエードをPRするためのサイトを開設する準備に取り組んでおり現在、主要顧客のインタビューを年内にサイトにアップする。

 グループ会社の東レ・ウルトラスエード・マーケティングが26日まで22秋冬向けのファッション素材を中心とする展示会を福利久ビル(東京都千代田区)で開催している。

 東レグループは22年度までの中期経営課題に取り組んでおり、ウルトラスエード事業部は「超過達成を目指したい」とするほか、次期増設の検討作業にも着手した。