スタイレム瀧定大阪/ゴルフ分野などの深耕に注力/環境配慮型や高機能生地を強化

2021年12月14日 (火曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、ゴルフやアウトドア、アスレ市場の深耕に力を入れる。m.o.v.e.室が基軸となって施策を進めており、ゴルフを中心に販売が伸びてきた。環境配慮型や高機能の生地提案を強化することで現在の勢いを加速する。アウトドア分野でも「来年に身を結びそうな話が出てきた」としている。

 同室の人員は3人。専任はおらず、他の課と兼務し、ファッションアパレルの情報をスポーツ分野に落とし込めることが同室の大きな強みだ。環境対応が進んでいるスポーツ業界の取り組みもサステイナビリティーの意識が高まってきたファッションアパレルに生かせる。

 このほど東京都内で開いたm.o.v.e.テキスタイル展でも環境対応を主体にさまざまな角度から生地の提案を行った。その一つが超臨界流体CO2を利用し、水を使用しない染色技術で作った「ゼロアクア」だ。染色工程で環境負荷低減に貢献する。

 Tシャツ1枚で約25リットルの水が削減でき、染料以外の薬剤も使わないと言う。汚染水がゼロになるほか、エネルギーの効率化でCO2の排出量が大きく削減できる。ベースの生地は再生ポリエステルをメインにしている。ゴルフを中心に採用が進むが、ワークウエアでも引き合いがある。

 そのほかテキスタイル展では、天然植物アロマオイルをマイクロカプセルに閉じ込めて生地に付着させた「アロマテリアル」、粉末状のシリカエアロゲルを3Dプリンター技術の応用で生地に固着した「エアロゲルファブリック」などを紹介した。

 同社の強みである生地の備蓄販売機能では、同室でもベーシックラインを立ち上げている。とろみのある独特の風合いが特徴のダンボールニットや先染めサッカー、組織感のある丸編み地など、合繊のスポーツ素材を約70品番そろえる。

 ゴルフやアウトドア市場は拡大しており、同室も着実な成長を図っていく。炭化化合物を練り込んだポリエステルで作った難燃生地「モエズ」など、アウトドア分野で注目を集めている素材も出てきた。今後の成長のため人員も増やす。