LIVING-BIZ vol.77(4)/寝具寝装モノ作り/田村駒/リュクス/東洋紡ユニプロダクツ/岩本繊維

2021年12月16日 (木曜日)

〈再生コットン活用/ライセンスブランド横展開/田村駒〉

 田村駒は、生地端や裁断くずを使った再生コットン「リライズコットン」の寝具向けへの提案を進める。

 リライズコットンの原料は、紡績、紡織、裁断、縫製までを一貫して担う中国の生地工場から回収する。原料を1カ所で集めるため、製造コストを抑えられる。細番手の糸も作り、高級志向にも対応する。

 試験反を作っており、今後、シーツやカバー、羽毛ふとんの“側”(中わたを入れる前の半製品)への浸透を図る。

 さらに同社グループが切り売りなどで展開するライセンスブランドを寝装や雑貨用途へ広げる。童謡詩人の金子みすゞをモチーフにしたブランド「みすゞうた」は、バッグ・財布・小物製造のポーム(大阪市中央区)の「友禅文庫」の財布などに採用された。金子みすゞの詩に出てくるモチーフやイメージを落とし込んだ柄を、伝統的な革細工の文庫革の技法を用いて表現。無地の状態の牛革に型押しし、浮き上がった模様に一つ一つ職人の手で彩色している。

 みすゞうたブランドは、インテリア品でも展開する予定。

〈圧縮機導入で物流コスト低減/工場とつないで商談/リュクス〉

 寝装・インテリア企画製造のリュクス(大阪市西区)は、日本と中国に生産・物流拠点を持ち、企画から製造、検品、物流まで自社グループによる一貫体制を構築している。

 中国には合弁の寧波明輝寝具(浙江省)、青島徳隆紡織(山東省)のグループ企業を持つ。青島徳隆紡織はふとんカバーや敷パッド、キルトケットを生産する。日本向けが主力で、ふとんカバーは年間400万枚を手掛ける。寧波明輝寝具はマットレスや枕、クッションを生産する。年間生産能力は枕約300万個、マットレス約80万枚に上る。

 両拠点では物流コスト上昇への対応や作業効率化を図るため、製品の圧縮設備の導入を進める。青島徳隆紡織は今年、敷パッド用の圧縮機を1台導入し、さらに年内に2台程度追加する予定。寧波明輝寝具は2020年に自動圧縮機3台を入れたが、設備更新を含めて1、2台導入する方針を示す。

 新型コロナウイルス禍で海外渡航が制限され、商談などへの支障が続いている。同社では自社グループ一貫体制を生かし、現地工場の担当者、得意先、自社の3者をオンラインでつないできめ細かな打ち合わせなどを行い、現地に行けない状況をカバーしている。

〈再生素材プラス機能性/消臭有機綿糸を備蓄/東洋紡ユニプロダクツ〉

 東洋紡ユニプロダクツのライフスタイル事業部寝装グループは、再生ポリエステルなどで、再生素材プラス機能性を持つ生地や製品を提案する。

 東洋紡グループのPET再生ポリエステル「エコールクラブ」と、汗処理素材「メガテックドライ」を複合したニットなどを打ち出す。メガテックドライはポリエステル使いで、肌側に撥水(はっすい)フィラメントを凸状に配置することで吸水層に移行した汗が逆戻りすることなく肌側をドライに保つ。

 さらに再生ポリエステルの極細中空繊維使いの高機能中わた「シュレープ」もラインアップ。再生素材使いの生地と中わたをそろえることで製品への対応力を高める。

 サステイナブル素材では、トルコのオーガニック原綿を改質して消臭機能を持たせた「デオドラン―O」を糸で備蓄するほか、インドのオーガニック綿使いの紡績糸を提案する。

 寝具寝装用途でも、サステイナブル素材への関心が高まっている。市販製品への採用はまだ限定的だが、今後、寝具業界全体で取り組みが一段と進むと見込んで提案力を高める。

 アイテム別では敷ふとん、マットレスにも力を入れる。東洋紡の3次元スプリング構造体「ブレスエアー」などを活用し、東洋紡グループのトータルコーディネートで提案の幅を広げる。

〈オーダーメードパジャマ4割増収/きめ細やかな個別対応人気/岩本繊維〉

 寝装製造卸・販売の岩本繊維(京都市)の2021年4~10月のオーダーメードを中心としたパジャマの売り上げは、前年同期比43%増だった。

 元々、寝装のカバーなどが主力製品だったが、8年ほど前から卸向けパジャマの自社生産を始め、3年前にネット直販を本格化した際に、オーダーメードのパジャマを軸にした。

 21年3月期は巣ごもり需要の追い風も受けて、パジャマが前期比2・2倍の増収となった。22年3月期もその勢いを持続する。1重ガーゼのヘンリーネックパジャマなどが売れ筋になり、パジャマの売り上げは全体の3割以上に高まっている。

 同社は本社と滋賀県東近江市に縫製工場を持つ。綿や麻、シルクの天然素材使いのガーゼ、サテンなどのオリジナル生地を使ったモノ作りを強みにする。オーダーメードパジャマはイージーオーダータイプ。約800種類(デザイン×素材の組み合わせ)から選べ、カラーも平均8色。サイズは15タイプが基本だが、丈を伸ばしたり、襟幅を短くしたり1枚ずつ個別対応する点も人気となっている。

 パジャマは日産100~120枚、カバーは350~450枚に対応。卸販売でも最小ロット1枚から対応する。