来年4月発足の東洋紡せんい/高利益体質構築へ/強みが生きる工程追求

2021年12月22日 (水曜日)

 2022年4月に発足する東洋紡グループの衣料繊維事業会社、東洋紡せんいはグループが持つ技術と販売力を融合させ、分野やアイテムごとに最適な事業形態を追求し、高利益率体質の構築に取り組む。東洋紡せんいの社長に就任予定の清水栄一東洋紡STC社長は「特に中東民族衣装用織物やスクール分野は絶対に負けるわけにはいかない」と話す。

 東洋紡せんいは、東洋紡STCの繊維事業と東洋紡ユニプロダクツ(TUP)が統合し、これまで東洋紡の子会社だったスポーツウエア縫製のトーヨーニット(三重県四日市市)も傘下に加えて発足する。海外子会社もインドネシアの編み立て・染色加工の東洋紡マニュファクチャリングインドネシアと縫製のSTGガーメント、ベトナムに縫製の東洋紡ビンズンを傘下に持つ形となる。

 清水社長は「原綿、紡績に関する高度な技術を持つことが強み」と指摘。これを生かし、インナー向け素材などを扱うマテリアル事業は「強みが生きる工程を見極め、川上分野で徹底的に勝負する」として、原綿、糸、生地の中から利益が最大となる形態での販売を徹底する。

 一方、スクール事業とユニフォーム事業は綿、ウール、合繊の糸から織物と編み物、縫製品まで扱うことが強み。これにTUPの営業力や物流基盤を融合させることで一段と競争力を発揮する戦略を進める。中東民族衣装用織物など輸出織物事業はブランド力を圧倒的なものにし、高級ゾーンでのシェアを引き続き盤石とすることを目指す。また、「新規事業の創出として非衣料分野への進出も目標」とする。

 東洋紡せんいは発足初年度となる23年3月期は連結売上高350億円前後でスタートする模様。統合による合理化効果や販売面でのシナジー発揮で利益率を高め、「東洋紡の衣料繊維事業会社として改めて打って出る」と清水社長は強調する。