東洋紡 スパンボンド事業/当面、値上げに全力/「エコボランス」伸ばす

2022年01月06日 (木曜日)

 東洋紡はスパンボンド事業で、2022年度に向けて原燃料高騰を転嫁するための値上げの浸透を急ぐ。吸音材向けの「サウンドブロックネオ」のスペックインを強化するとともにペットボトル再生ポリエステル使い「エコボランス」の拡販に取り組む。

 原燃料が高騰しているため、同社は21年10月1日出荷分から30円(1キロ当たり)の値上げを表明しており、早期浸透を目指す。

 サウンドブロックネオは自動車用吸音材向けに開発したフェルトと極細のメルトブロー不織布を貼り合わせた2層構造の原反。吸音が難しいという低周波の雑音に効果を発揮する。EV(電気自動車)の普及に伴い低周波を取り除きたいニーズがさらに高まると見通しており、自動車メーカー、ティア1へのアプローチを強化しスペックインに取り組む。

 不織布業界でも「エコへのニーズが徐々に高まってきている」(西阪剛志スパンボンド事業部長)とみており、エコボランスでは再生原料70%使いを打ち出すとともに100%使いを早急に完成させる。

 昨年1月から京都大学と重金属イオン吸着シート「コスモフレッシュNANO」による共同研究に着手しており、さまざまなデータを収集・分析しNANOの販促に活用する。秋田県で行われた国交省の案件を獲得するなど徐々に市場浸透が進んでいる。熱成形ができる「エストーレ」も新開発。元々、得意でなかった使い捨ての容器のような薄手・生活資材の用途に参入する。

 スパンボンドに特殊コーティングし軽さ、丈夫さ、通気性に優れるトノカバー向け「カテナ」はこのほど欧州の自動車メーカーに初めて採用された。「大きな一歩」に位置付けており、欧州での販売を強化するとともに、中国企業との連携でカテナを現地加工するための取り組みを急ぐ。中国の自動車市場ではSUVが占める比率が高く、現地加工によるQRで中国内販を伸ばす。