産資・不織布通信(101)/クラレクラフレックス/フィルターでの取り組み強化

2022年04月18日 (月曜日)

 クラレクラフレックスはメルトブロー不織布によるフィルター素材の開発を強化するとともに、レーヨン不織布製の「カウンタークロス」では2023年度で新型コロナウイルス禍前の販売量に回復させる。

 同社は短繊維不織布を主力に展開する。乾式不織布による業務用布巾「カウンタークロス」を製品で販売しており、量販店のバックヤード、外食産業などに広く普及している。

 この間、食品包材などの専門商社と連携し、海外進出した日系外食チェーン店などへの販促を強化してきた。

 年々、販売量を伸ばしてきたが、新型コロナウイルス禍で海外出張ができなくなったため、伸び悩みに転じており、新型コロナ禍が収束して以降、海外市場へのアプローチを再開させたい考えだ。

 カウンタークロスでは、20年に国際的な森林認証制度であるFSC認証を取得した。環境、安全に対する感度の高い顧客に認証取得を積極的にPRし、23年度でカウンタークロスの販売を19年度並みに回復させる方針。

 メルトブロー不織布では、増設を実施。年産1800トンを同2700トン体制に引き上げており、既にフル稼働を実現している。

 マスク向けの販売から徐々に勢いが失われつつあり、マスク向けの供給責任を果たしながら、今後は需要増が見込めるフィルター素材の開発に重点化する。

 これまではクラレ西条(愛媛県西条市)工場で生産してきたが、今回は新設備を岡山工場(岡山市)に導入。乾式不織布やスチームジェット不織布などとの複合品の開発に力を入れ新規用途・顧客の掘り起こしにつなげる。

 自動車用吸音材にも注目している。ガソリン車に使われる吸音材向けに長年、原反を販売してきた実績があり、今後は普及・浸透が見込まれる電気自動車(EV)用吸音材の開発を推進。これまで蓄積してきたノウハウを反映させ、EV用の吸音材開発を急ぐ。

 高圧の蒸気で繊維を絡ませ原反を形成するスチームジェット不織布「フェリベンディ」、では、伸縮包帯以外の用途開拓に改めて力を入れる。