特集/香港・華南/日本企業の動き――
2002年04月03日 (水曜日)
帝人香港/数量微増もフル販売
前12月期は前の期に比べ20%増近い5900万ドルの売り上げとなった帝人香港(江副勇次社長)。今年はさらに約10%増の6400万ドルを目指す。南通帝人、タイナムシリの2拠点から対欧米日輸出を拡大する。
立ち上がりの1~2月は「米テロ事件の後遺症からか不振」(江副氏)で、全般に引き合いが遅れていたが3月後半から戻りつつある。単価の落ち込みも厳しいが、「昨年末に南通で増設したレピア32台(計96台に)が本格稼働、厚地の比率を高めてフル販売を目指す」。
今期も最終仕向地として欧州40%、日本30%、米国15%その他の構成となる見通し。米国向けはやや厳しい観測だが、デザイナーブランドを中心に着実に増加、「立ち上がりの低迷を払拭させる」と意気込む。
コッカ/上海店の機能強化へ
昨年4月に上海事務所を設けたコッカ。上海で生地を生産し日本国内の取引先の中国縫製用加工反供給を狙いとしていたが、製品化のニーズが高く、生地からの一貫体制の拡充に向かっている。手掛ける商品は婦人服から子供、ゆかた、袋物など幅広い。「長期的に増員していく」(森田喜雄海外事業部長)計画。
また、大連の独資縫製工場はキャリア向け婦人服に加えオフィスユニフォームの受注などで好調。市内に設けた直営店舗は日本製プリント生地やカーテンの別注販売で順調だ。
海外事業部は海外生産のOEM受注がメーン。小型のSPAに的を絞り、20歳前後の婦人物を対象に顧客拡大中。香港支店も生地売りと現地SPA向け製品販売が二分しており、小回りを利かした対応で中国での展開を強化する。
ニチメンファッション/上海繊維展に2ブース
中国で加工反現物販売『奔時代』を展開するニチメンファッションは、4月24~27日に上海で開かれる「第4回上海国際テキスタイル展」に2ブース出展する。これまでは『奔時代』だけの展示だったが、今回は日本製生地見本帳『バンセット』『セブンベリー』も別ブースで出展、日本発信をアピールする。
『奔時代』は同社が01年1月に設立した中国現地法人、日棉時装(上海)貿易が展開。前金・人民元決済で初年度500社に販売し目標の3億円を1億円上回る4億円を売り上げた。中国製無地・先染め織物36品番・15色で販売し、年間5品番程度増やしていく。
今回の日本製素材見本帳の出展は、中国企業に日本素材の良さをアピールし、関税引き下げ後の内販市場への日本発のテキスタイル販売を拡大するのが目的。
シルキー/織物販売にも進出
中国に製造事業を全面移転した肌着製造販売のシルキー(山邑昭夫社長)が織物販売にも進出する。中国合弁紡績、南通大生シルキー紡績(江蘇省南通市)で村田機械の革新紡機MVS(ムラタ・ボルテックス・スピナー)を年内に4台導入、原糸からの差別化を通じて取り扱い商品の幅を広げる。
シルキーは89年に丸編み・染色・縫製一貫の南通シルキー針織服装を設立後、同様に一貫工場である南通新シルキー針織服装、江蘇ビンビンシルキーを設立して国内工場を撤収。95年には紡績の南通大生シルキー紡績(紡機5万錘)を設けて原糸からの一貫体制を敷いた。
今後、大生シルキーで靴下メーカーなどに先染め糸を販売するほか、同紡績で生産した原糸を国有紡織企業で交織織物やニット生地などにテキスタイル化、日系合繊メーカーに供給する。