特集 第58回東京ファッション産業機器展―58th FISMA TOKYO(4)/東レACS 効率化支援のツール提案/来場者との交流でニーズ探る

2023年09月22日 (金曜日)

 東レACSは「アパレル産業の企画・設計における業務効率化をCADシステム『クレアコンポⅡ』とアパレル向けデータ管理システム『サイフォーム』で支援する」をテーマに掲げ、FISMA TOKYOに出展する。会場では、これらのツールの紹介を通じて来場者とのコミュニケーションを図り、服作りの現場から生まれる効率化のニーズを捉える機会とする。

〈3D表現の精度追求〉

 クレアコンポⅡは、アパレルの企画・設計工程の生産性向上をサポートする。ユーザーの環境に合わせ、個人向けクレアコンポⅡクラウドサービス、企業向けクレアコンポⅡクラウドサービス、クライアントサーバーなどの運用タイプから選べるようにした。

 ユーザーからのニーズの変化に対応するためバージョンアップを重ねてきた。6月に顧客と機能開発を進め、「表衿」「袖裏」「ポケット」などの機能を改良した最新のVer・8・2をリリースした。

 用途別のソフトウエアの品ぞろえも充実している。

 パターンメーキングソフト「パターンマジックⅡ」は、初心者でも使いこなせる〝直観的な〟操作性が特徴。工業用パターンの自動作成機能も追加したため、作業効率がさらに向上した。

 グレーディングソフト「グレーディングマジックⅡ」は、多様なデザインに対応しながら、シルエットを崩さずに高品質なサイズ展開を可能にする。マスターサイズを修正しても簡単に再グレーディングできる。

 マーキングソフト「マーカーマジックⅡ」は、用尺見積もりから裁断用マーキングまでさまざまなプロセスに対応し、手作業からの脱却と収率アップを図る。

 縫製仕様書ソフト「パターンマジックⅡSS」は、パターンマジックⅡからのシームレスな連携・操作で高品質の縫製仕様書作成を簡単にする。

 3D(3次元)バーチャルフィッティングソフト「パターンマジックⅡ3D」は、正確な立体化で衣服設計を支援する。簡単な操作でトワルチェックと修正が短時間で完了するため、リードタイム短縮とコスト削減が実現する。

 ラフパターンの段階で3Dによるデザインチェックを行えば、デザインの決定後にパターンの作り込みやトワルチェックもできる。結果、デザインの変更による繰り返し作業を削減する。その削減した時間をパターンの作り込みや技術継承に活用すれば、生産性と品質の向上につながる。

 同ソフトについては、ボディー(胴体のみのマネキン)のメーカーであるキイヤ、七彩と連携し、使用できる3Dボディーの拡充を行った。3D上でのトワルチェックの再現性向上を図っている。

 同社は3Dによる表現の精度を追求しており、FISMAの自社ブースで開くセミナーでは、ギャザーの表現などを通じて技術の現在地を紹介する計画だ。

〈情報共有機能を生産管理にも〉

 サイフォームは、情報の管理・共有・活用を担うシステム。充実した入力補助機能や作図機能を標準装備しており、デザイン画や縫製仕様書を効率的に作成できる。

 マスター登録を使用すると、繰り返しのデータ入力が不要になり、二重入力や転記ミスを防ぐことができる。

 データは一元管理しているため、場所を選ばず最新データを確認できる。

 CADデータやエクセルなどのデータも取り込めるため、新たにデータ入力する必要もない。

 サイフォームの標準機能が顧客の希望する業務で使用できない場合、カスタマイズにより専用機能を開発する。複数の帳票で使用される付属や製品の集計、運用する基幹システムとの連携なども行う。

 帳票の情報を基幹システムに取り込むことで、製品発注や付属発注業務が円滑になる。基幹システムの生地マスターなどの情報も取り込める。

 帳票の作成から入力、連携、閲覧といった汎用的なアプリケーションではカバーし切れない使いやすさを実現させるソフトウエアもそろえている。

 帳票入力ソフト「サイフォームマジック」は、アパレル向けの入力機能や作図ツールが使用でき、データベースやクラウドでの情報連携で煩雑な帳票管理をスマートにする。

 データベース検索タイプ閲覧ソフト「サイフォームビューアプロ」は、パタンナーが作成した帳票をMDやデザイナーが閲覧したいときに使う。

 ファイル表示タイプ閲覧ソフト「サイフォームビューア」は、サイフォームマジックを導入していない取引先でも、同じデータの閲覧や印刷ができるようにした。

 サイフォームからは、単独では実現できない業務の効率化に向けたオプションソフト「工場コックピット」も提案する。

 工場コックピットは、生産計画の管理と進捗(しんちょく)確認を行うシステム。計画の把握、確認作業の短縮、遅れの発見といった役割を果たす。

 作業者が一つの工程が終了するごとにボタンを押すだけで、進行状況が分かる仕組みになっており、各ラインリーダーの確認の負担を軽減する。

 生産計画と実際の進行状況との対比を、タブレット端末などでも表示できるため、現場から離れた場所での生産管理にも適している。