私が見たパリの服事情 (51)メゾン・エ・オブジェ(上)
2025年02月05日 (水曜日)
スエードつなぎ日本発の生地
パリ=龍山千里通信員】遠藤絵美、友岡洋平両氏によるデザイナーユニット「EETY studio」は、先月開かれた世界最大級のインテリアデザイン展示会「メゾン・エ・オブジェ(MEO)・パリ」に初出展した。
2023年、在日フランス大使館とモビリエ・ナショナルフランス国有動産管理局主催の第1回デザイン賞を受賞した遠藤氏。モビリエ・ナショナルの工房で織られているゴブラン織りから着想を得て、豊かな色彩表現を製品デザインへと転化させたホームテキスタイルを展示した。タペストリーを試織するときに生まれたカラーサンプルから、複数の色の集合で生まれる複雑な視覚表現に着目した。
会期中は建築デザインにまつわる関係者の来訪も多く「、プロダクト自体にとどまらずテキスタイルをどのように空間へ落とし込むことが可能かを考える機会になった」と言う。
1940年代ごろから見られる米国に伝わる革技術を応用して、小さなパーツを鎖状にしてつなげ、さらに重ねることで面を作り出す手法へとたどり着いた。柔軟に成形でき、縫製が不要なのも特徴的だ。
鎖状につながれたパーツの一つ一つには東レの人工皮革「ウルトラスエード」を使用している。80色以上を自在に組み合わせ奥行きのある色使いに落とし込む作業は複雑で時間を要する。その一方、組み立ては手作業で完結できるため、「いずれは就労支援施設との協業なども視野に入れながら、市場のニーズに合わせて生産環境も考えていきたい」と言う。