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テクテキスタイル閉幕/個性派企業も積極提案/産資分野へ参入契機に

2024年04月30日 (火曜日)

 【フランクフルト=宇治光洋】23日からドイツ・フランクフルトで開催されていた世界最大級の産業用繊維・不織布見本市「テクテキスタイル」と、国際縫製機器見本市「テックスプロセス」が26日(現地時間)、閉幕した。会期中は大手企業だけでなく個性派企業も積極的な提案を行った。アパレル分野を主力とする企業も展示会を産資分野への参入の契機としようとユニークな商材や技術を展示した。

 新型コロナウイルス禍が収束して以降、本格開催となった今回のテクテキスタイル、テックスプロセスは23日の初日から多くの来場者があり、主催のメッセ・フランクフルトの関係者からは「コロナ禍から完全復活となる展示会となった」といった声が上がる。そうした中、合繊メーカーなど大手企業が大規模ブースを構える一方、個性派企業も積極的な提案を進めた。

 テクテキスタイルで日本グラスファイバー工業は新タイプのガラス繊維クロスを打ち出す。通常品は耐熱温度600℃だが、特殊コーティングにより千℃まで高めることに成功している。電気自動車(EV)のバッテリーカバー用途などを狙う。マフラー用途で実績のあるガラスウール成形品も紹介。ガラスウールのロービングによる成形品も披露し、ガラス粉末の飛散が発生しにくい点などを訴求した。

 萩原工業はポリエチレンシートを膜材として提案する。膜材として一般的なターポリンはポリエステル基布に塩ビ樹脂を含侵したものだが、同社のポリエチレンシートは基布とコーティング材ともにポリエチレンのためモノマテリアルによるリサイクル性の高さが特徴。さらに欧州では環境負荷低減の観点から塩ビを忌避する動きがあることも追い風にしたいとする。

 印刷インキ、合成樹脂などを製造・販売するDICは米国子会社のサンケミカルのブランドを前に出して出展し、水系ウレタン樹脂「ハイドランGP」を紹介した。水系のため溶剤の使用量を減らせることや、有効成分の含有量の多さ、架橋剤不使用、アミン系中和剤を使わないことによる臭気抑制、加工工程での温室効果ガス発生量が少ないなど環境負荷の低さをアピールした。

 テクテキスタイルに出展した島精機製作所は、「ホールガーメント」(WG)横編み機やコンピューター横編み機による産業資材向け編組技術を打ち出した。WGによるかばんや家具、自動車向け編み物、高強力糸によるニット衣料などのサンプルを展示し、産資分野への参入強化を目指す。

 テックスプロセスに出展したヤマトミシン製造は、得意とする高品位・高品質な縫製を前面に打ち出した。フラットシーマー「FD―62SD―LF」を欧州初披露。縫い目伸度が従来機より約30%向上していることをアピールし、ストレッチ素材による高機能ウエアの縫製に威力を発揮することを訴求した。