特集「PTJ25春夏」(2)/わが社のイチ押し品と機能/宇仁繊維/東レ/滋賀麻工業/川田ニッティンググループ/古山

2024年05月01日 (水曜日)

〈ジャカードやレース充実/宇仁繊維〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)は今回のPTJで、ジャカード織物やレースなど意匠性のある生地を取りそろえる。

 ポリエステル100%のジャカード織物は、経糸に分繊糸を使用することでハリ感と軽さを出した。糸の収縮差で繊細な表面感を出しており、ジャカード織りならではの柄表現になっている。

 ポリエステル100%レギュラー糸とカチオン糸で染め分け可能なイージーケアレースは、柄糸部分をカットしながら編むことで刺しゅうのような飛んだ柄を表現した。ざっくりとした編み目が特徴の手編み風レースだ。

 同社はPTJに継続出展する常連組。これまで国内外の新規顧客を同展で獲得してきた。トレンド情報の収集にも役立っていると同展を高く評価する。

 国産にこだわっており、国内に配する子会社の染工場や協力織布工場との密な連携によるスピード感や備蓄による小口供給体制が強み。約4万点の生地を備蓄しており即日出荷も可能。「自分で作って自分で売る」をモットーに顧客の要望に寄り添い、日々、モノ作りを行っている。

〈最先端の生地で空間つくる/東レ〉

 東レは、紳士・婦人衣料、スポーツ・衣料資材、ウルトラスエードの3事業部が扱う最先端素材を中心に提案する。今回は展示方法も一新。ピックアップした最先端の生地で展示空間自体を構成し、体だけでなく空間を包むテキスタイルのイメージも演出する。

 紳士・婦人衣料からは独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」によって生み出された合繊生地を提案する。繊維形状によってフッ素系撥水(はっすい)加工剤非使用でも高い撥水性を実現した「デューエイト」、和紙のような風合いを実現した「カミフ」、マイクロファイバーによるストレッチ素材「utsフィット」、ウールの繊維表面形状を再現することでしなやかな質感と機能性を実現した「キューティクル」、シルクのような光沢と膨らみ感が特徴の「キナリ」などが見どころ。

 スポーツ・衣料資材からはストレッチ素材「プライムフレックス」、リサイクル合成繊維「&+」(アンドプラス)のほか、裏地やかばん地、傘地で実績のある生地も紹介する。ウルトラスエードは、「プルミエール・ヴィジョン」など国際展示会で高い評価を得た最新コレクションを披露する。

〈綿やキュプラで多彩に麻複合/滋賀麻工業〉

 湖東産地の滋賀麻工業(滋賀県愛荘町)は、定評ある自主企画のリネン先染めに加えて、綿混やキュプラ混など複合織物を例年より意識的に充実させた。需要旺盛ながら価格が高騰するリネンをはじめとする麻原料への対策とともに、複合ならではの表情感を持つテキスタイルを披露する。

 リネン先染めチェックは、トレンドカラーに合わせて毎シーズン自社企画し、アパレルも直接採用する同社の顔。今回展ではリネン100%だけでなく、経緯に綿強撚糸を交織して加工時の収縮差で規則的な凹凸感を出したサッカー調も打ち出す。

 キュプラ企画も久しぶりに復活させた。経糸をキュプラ短繊維共通にし、キュプラ100%品をはじめ、緯糸に、麻ではリネンやラミー、さらに竹繊維「TAKE ITO」までさまざまな緯糸バリエーションの交織をそろえる。

 リネンを経糸共通でポリエステル綿混糸を緯糸に交織した後染めも今回展の目玉の一つ。染着差を生かして、絣(かすり)調やトップ染め風に見える。交織の密度で柄の出方が変えられるため、複数のパターンを用意した。

〈シーン別に機能トリコット訴求/川田ニッティンググループ〉

 トリコット大手の川田ニッティンググループ(富山県南砺市)は、川田ニットとケーシーアイ・ワープニットが共同で出展し、自社ブランド「トコシエ」を訴求する。今回は「トコシエ×アダプション(機能環境)」をテーマとし、サステイナブルをベースに機能性に焦点を当てて開発。さまざまなシーンに対応するトリコット商品群を紹介する。

 ブースではスポーツ、アウトドア、カジュアル、ヨガやウエルネスの4シーンに分け、それぞれに適した機能トリコットを提案する。スポーツ向けでは、伸縮性と機能性(通気性、遮熱、冷感、調温)を併せ持つ商品をそろえ、製品としてスポーツタイプのTシャツなども展示する。アウトドアシーンに向けては、非フッ素系撥水(はっすい)や超軽量、パッカプルなどの機能を持つトリコットを紹介する。36ゲージ(G)や44Gのハイゲージで織物のような外観を持ち、通気性や伸縮性もそなえるトリコットは製品としてジャケットとパンツを展示する予定。シワにもなりにくく、A5サイズに畳める。

 カジュアルシーンでは、紫外線対策や防虫などの機能を備えた商品を訴求。ヨガやフィットネス、ウエルネスなどに向けた商品は、ブロークコアの流れも取り入れて開発を進めた。

〈綿や麻に遠州の加工技術/古山〉

 古山(浜松市)は綿や麻といった天然繊維使いの生地を提案する。遠州産地の染色整理加工技術を駆使し差別化を図った。計100点展示し、新作のほかにも、新色を追加した既存商品など幅広くそろえる。

 ラミーとリネンのシーチングは硫化染めによるビンテージ感のほか、経年変化も楽しめる。ナチュラル感を表現するため加工でシワの出方にもこだわった。

 綿のタイプライターは先染めでミニギンガムチェック柄を施した。その上から硫化染料でオーバーダイをすることで色むらも表現。硫化染料の粒子が大きいため、まだらのようなムラになると言う。

 100双のガスボイル糸を使った生地は大小異なるサイズのシワが特徴だ。糸染めの染色機で生地を染める「マイヤー加工」を施すことで、多彩なシワを生み出した。ハリ・コシやシャリ感も備える。

 この三つの生地はいずれも遠州の染色整理加工場で加工を施した。シャツや羽織りといったトップスを中心にボトムまでの幅広い用途に向けて訴求する。