伊藤忠商事繊維カンパニー 小売り分野強化に注力

2024年05月14日 (火曜日)

 伊藤忠商事の繊維カンパニーはこのほど、東京本社(港区)で2023年度(24年3月期)の決算概況会見を開き、武内秀人執行役員・同カンパニープレジデントは「安定的に連結純利益300億円を計上できる体制の基盤作りという目標に着実に近づいている。

24年度(25年3月期)はその仕上げの年にしたい」と抱負を述べた。

 武内氏は23年度を振り返り、「OEM/ODMを担う事業会社が好調だった。繊維カンパニーの連結事業会社は全て最終段階で黒字を確保できた」と成果を挙げた。

 24年度の方針については「伊藤忠が掲げる経営方針〝利は川下にあり〟に沿い、消費者に近い位置でビジネスを行う小売り型の事業会社の業績向上に注力する。23年度までに販売権を取得したブランドなどもしっかりと磨きをかけ、商品力を強化する」と話した。

 4月にファッションアパレル部門長に就任した三村剛執行役員は、スポーツを重点分野に定め「底堅い成長を継続できるようにする。海外でも現地の有力パートナーと共にビジネスの規模拡大を目指す」と強化方針を示した。

 主力ブランド「デサント」については「日本・中国・韓国と業績のバランスがとれた事業運営を進めていく」とした。「アンダーアーマー」に関しては「ライフスタイルに向けた商品の展開を始める」と展望を語った。

 サステイナブル分野の取り組みとして、異業種を含む他社との連携のもと、各種のリサイクル・リユース事業を推進する。

 ブランドマーケティング部門長の福垣学執行役員は「スポーツブランド『フィラ』について、中核カテゴリーであるシューズとアパレルの企画・製造・販売を子会社で手掛ける体制を築けたのは大きな前進となった。もう一つの主要ブランドである『コンバース』も含めたシューズのビジネスを一層強化していきたい」と方向性を示した。

 中高級品分野では、「レスポートサック」が国内で適時に企画商品を投入する販売戦略が奏功したという成果を挙げた。

 部門としては「事業会社の業績向上を重視する。実店舗での購買が回復している今こそ、店頭での心に残る消費体験を提供していく」方針だ。