東レ・榊原社長/産地とシナジー期待 石川工場 プリプレグ新設で

2007年03月12日 (月曜日)

 東レの榊原定征社長、杉本征宏専務繊維事業本部長ら首脳は9日、金沢市内のホテルで会見し、先ごろ70億円を投じて、石川工場(石川県能美市)で新設を発表したプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)について「東レ合繊クラスターも含め産地企業とのシナジー効果も期待できる」と述べた。

 同社は2006年度、連結営業利益で1020億円と初の1000億円超を見込むが、そのけん引車である炭素繊維・複合材料事業は前期比52・3%増の180億円と予測する。

 榊原社長は「炭素繊維は環境対応に向けた軽量化に不可欠で、21世紀の基幹素材」と強調。石川工場は「世界の最先端の繊維工場であり、今回のプリプレグ生産は産地企業との連携に加えて、繊維技術も生かせる」と述べ、早期の増設を視野に入れていることも明らかにした。

 一方、繊維事業については昨年10月にスタートした中期経営課題「イノベーション・トーレ2010」の最終年度、2010年度に連結売上高6000億円以上、営業利益300億円以上が目標。「基盤事業として安定収益体制の構築を目指す」方針を改めて示した。

 同席した杉本専務も国内の良質な衣料品市場に向けた高品質、高機能品の開発と産地企業とのQRシステムの構築に加え、縫製品事業の強化、先端材料による産業資材の拡大、海外事業の強化などを課題に挙げた。

 榊原社長は東麗繊維研究所〈中国〉に触れ「現在、200人強の陣容だが、早期に350人に増やす」。同研究所の江蘇省南通市での繊維研究は、当初の中国市場開拓用にとどまらず、日本での基礎研究を発展させ、世界に発信する拠点に育成する方針も示した。