東レTFNL/カーシート地用拡大

2007年04月13日 (金曜日)

 【上海=合田伸一】合繊製造の東麗合成繊維〈南通〉(略称TFNL)は、カーシート地用のポリエステル長繊維糸販売を強化する。

 TFNLの同糸年産量は5万5000トン。三木憲一郎董事によれば現在、非衣料用が3割強を占める。カーシート地用は全体の2割強で、非衣料用の主力を形成している。この比率を3割近くにまでさらに高める。同時に、自動車のモデルチェンジなどに伴う不採用リスクを避けるため、カーシート地用途への3~4割までもの高い集中は避ける構えだ。

 販売先は日系のカーシート地メーカーが中心だが、中国の生地メーカー向けも、上海近郊から各地へ広がってきた。現地メーカーは約20社あるが、TFNLの糸質を正当に評価し、適正な価格を受け入れる相手に売る――という方針を同社は貫く。このため、ローカルのカーシート地メーカーでは、表の見えるところにはTFNLの糸、見えないところには中国原糸メーカーの糸を使ってコストの均衡を図る企業もあるようだ。

 中国のポリエステル長繊維メーカーでも、先行している儀征化繊に加えて江蘇恒力化繊の伸長が目立ち、翔鷺紡織〈廈門〉や溜博万傑集団が追うなど、カーシート地用の糸質も向上してきている。このため、TFNLは、さらにきめ細かい商品対応と差別化織物に応じた特品化を目指す。グループ企業である東麗酒伊織染〈南通〉や中国の大手ニッターなどの外注企業と連携し、顧客のニーズがあれば生機による納品にも糸売りの一環として対応できる体制も採用する。