ポリ乳酸繊維/品質表示で指定用語に

2007年06月12日 (火曜日)

消費者の知名度向上へ

 トウモロコシを原料とする“カーボンニュートラル”素材として期待の高まるポリ乳酸(PLA)繊維が、8月1日から経済産業省所管の「繊維製品品質表示規程」で指定用語となる。これにより一般消費者の間でPLA繊維の知名度がさらに高まるとの期待が、合繊メーカーの間で広まっている。

 PLA繊維は、これまでの規程では「指定外繊維」に分類されていたが、今回の指定で今後、製品に付けられる品質表示の下げ札やタグに「ポリ乳酸繊維」と表示されることになる。これを受けて合繊業界では、取り扱い注意事項の統一見解の策定も検討する。また、PLA繊維使い水切りフィルターは、7月1日から「エコマーク」の商品類型に認定される。これにより、グリーン購入対象商品として、普及が加速する可能性がある。これらの動きを背景に、現在PLA繊維を展開するユニチカ、東レ、クラレの3社では、引き続きPLA繊維の用途拡大と市場開拓を進める考えだ。

 ユニチカの「テラマック」は現在、年間の販売量が300トン。松永伸洋新規事業開拓室長によると、主に詰めわたやベッドマットなど寝装用途やタオル、水切りフィルター、ティーバッグなど生活資材分野で販売が伸びる。とくに詰めわたは、2種類の中空繊維をサイドバイサイドに複合する中空コンジュゲートわたで、立体的倦縮によるかさ高性が好評だ。また、自動車内装材用途へのワークも強化している。

 東レの「エコディア」も、現在の販売量は年間300トン。うち約40%が寝装用詰めわた用途だ。西川リビングとの取り組みで、これまで西川リビングのふとん中わた20%にエコディアが使用されてきたが、今年からこれを30%に拡大するなど使用量が順調に伸びる。 

 また、重点分野と位置づける自動車関連にも力を入れる。課題だった物性面も耐加水分解性向上の研究が進みつつあることから、橋本和司取締役ファイバー事業部門長兼産業資材・機能素材事業部門長は「自動車関連は、今年から来年にかけて大きく伸びる可能性がある」と自信を見せる。今期は年間500トンの販売を目指す。

 一方、資材分野に特化して商品開発を進めるクラレの「ジオダイナ」は、紐材用途で堅調な販売を続けており、最近では新たに針金代替の結束帯を投入するなど、用途開拓を充実させたほか、こちらも自動車関連への販売に力を入れる。