特集 アンチエイジング/“皇帝の夢”繊維で実現
2007年06月18日 (月曜日)
近年、高齢化社会の進展を背景に注目が高まる「アンチエイジング」。「老化抑制」とも訳され、“不老不死”は人類の長年の夢である。「不死」は物理的に不可能だが、いつまでも若々しく過ごしたいと願うのは、誰もが抱く夢だろう。しかし歴史をひもとくと、皮肉なことに不老不死への挑戦は、不死どころか、かえって死を招く事態を度々引き起こしていた。そんな難しい課題に今、繊維産業が挑む。高度な科学力の結集が、かつての仙術や魔術の領域に光を当てつつある。
歴史上、不老不死に最も熱心だったのは中国の歴代皇帝である。例えば、秦の始皇帝は不老不死の秘薬を求めて、方士徐福を東海に派遣したことは有名だ(ちなみに、徐福がたどり着いた場所が日本であるという「徐福伝説」が和歌山県などに残る)。
当時、不老不死の秘薬としてよく使われたのが「辰砂」、すなわち天然の赤色硫化水銀鉱石である。これを精製すると、液体の金属、水銀が生まれるという神秘性が、いかにも不老不死に効果を発揮するように見えたのだろう。
だが、周知のように水銀は猛毒である。だから不老不死の秘薬として水銀を服用するなどは、まさに自殺行為。哀れ始皇帝は、それによって死期を早めたと伝えられる。その後も、水銀服用による不老不死の試みは続けられ、唐王朝では、少なくとも6人の皇帝が水銀中毒によって死亡したといわれる。
このように、極めて難しい課題であるアンチエイジングだが、かつては不可能と思われた領域に現代科学のメスが入る。そして、それは繊維産業も例外ではない。
紡績の加工技術の粋を集めたプラチナや牛乳タンパクなどを活用しての素材開発や、合繊メーカーが持つ高度な化学合成技術を活用したサプリメントなどの開発が進む。
マックス・ウェーバーが指摘したように、近代とは“魔術から解放”された時代である。かつては仙術や魔術の領域として不老不死に挑戦した中国古代の皇帝たちと違って、現代人は科学の力によって安全にアンチエイジングを試みることができる。“皇帝の夢”が、いま実現しようとしている。
京王新宿店「リフレピア」/健康、美を総合提案
いつまでも健康で美しくありたい―世代を越えた女性共通の願望を、総合的にソリューション提案するのが、京王百貨店新宿店の「リフレピア」だ。健康・美容・いやしをコンセプトにしたライフスタイル提案型売り場で、乳幼児を連れたバギー族から高齢者まで幅広い年代層に支持されている。
メークや健康グッズなどの自主編集売り場に加え、自然食材・食品、健康食品、漢方相談薬局、化粧品、マッサージ、ネイルサロン、アロマ雑貨などのテナントで構成。アイテム別フロアが多い百貨店において、リフレピアは画期的な存在だ。
リフレピア担当で新宿店改装プロジェクトの一員だった浅井典子バイヤーは、「お客様はモノではなくコトを求めている。“食”を含め、健康・美容・いやしを求めるライフスタイルを切り口に、多様な角度から情報と商品を発信していきたい」と語る。
当初は、食品フロア以外で食品を扱うことに社内で反対意見が出たが、健康グッズの隣に自然食品のジャムが並んでいても顧客に違和感はなく、むしろ「ここに来れば何かある」との期待感が強まる。薬剤師や栄養士など有資格者が多いため、安心して買い物ができる。
自主編集売り場では、毎月テーマを設定し総合ディスプレーを展開。春先の花粉症対策や5月の紫外線対策に続いて、現在は梅雨対策を提案中だ。湿気の不快感を軽減する5本指靴下や足のスプレー、便利なレーングッズ、化粧品などを1カ所にそろえ打ち出している。
他のフロアと重複するアイテムは多いが、リフレピアでは機能性・効能を重視した品ぞろえに特化し、住み分けを図る。例えば紫外線ケアの手袋や帽子。デザイン性の高い商品は1階、リフレピアではガーデニングや犬の散歩用など実用性の高い商品を扱う。顧客も上手に使い分けているという。
9月には開設3年目を迎える。オープン後半年間は苦戦したが、認知度の向上とともに売り上げは増加。前年実績と比較できるようになった05年9月から21カ月連続でプラスを更新中。これからも顧客の「何かある」の期待に応えていく。
ユニチカ・アラビノースN/血糖値をコントロール
「太ってしまうのは、ついつい脂肪分を取ってしまうから」と、我々は肥満の原因を脂肪分のせいにしがちだが、実は誤った認識だ。「食事の約7~8割は炭水化物が占めます」と話すのは、ユニチカの植村康一農学博士。炭水化物を取ることで血糖値が上がり、肥満につながることは、意外に知られていない。
ユニチカはその炭水化物である砂糖の分解・吸収を抑える「L―アラビノース」に注目。L―アラビノースはてん菜(ビート)の砂糖精製後に残った部分から作られ、環境に配慮。自然由来で安全性も高い。
砂糖と同質の味覚で約2分の1の甘味を持ち、熱にも強く優れた安定性を保つため、様々な食品や飲料への応用ができ、血糖値をうまくコントロールできる。
さらに食物繊維である難消化性デキストリンを配合することで相乗的に吸収を抑制する「アラビノースN」(製造法で特許取得)を開発した。きつねうどん摂取における30分後の血糖値上昇抑制効果を見ると、通常血糖値が180mg/dlまで上がったのに対し、アラビノースNを摂取した場合150mg/dlと、効果は歴然。
「健康的なダイエットを目指す人には効果的」と、食べ物を減らさなくても、ある程度の効果が期待できる。日本全国の6人に1人は糖尿病の有病者か予備軍と言われる現代、アラビノースNは心強い味方だ。
今年4月から全国のドラッグストアや通販などでアラビノースNを配合したダイエットサポート食品「アラビニスト」をプレーン味など4種類、各14包入りを希望小売価格2180円で発売。ユニチカでは他にも国産コンニャク芋から抽出した天然潤い成分「セラミド」配合のサプリメント「セラミドエイジ」シリーズなどを展開し、美容健康面での商品開発に力を入れる。