繊維ビジョン・技術と感性で世界へ(3)/炭素繊維協会常任委員会委員・大西盛行氏
2007年06月21日 (木曜日)
先端素材産業 打ち出す
――「先端産業」の代表として参加されたわけですが、新繊維ビジョンの中間とりまとめについてどのように評価されますか。
今回のビジョンは、「先端素材からファッションまで」と題されています。ビジョンの中で先端素材を明確に打ち出してもらったことを高く評価しています。その先端素材の代表として炭素繊維を取り上げていただきました。
――「炭素繊維は日本の3社で世界市場の7割のシェアを占める」「最も国際競争力が高いもの」と紹介されています。
欧米の化学メーカーも炭素繊維に参入しましたが、1990年代に撤退しました。化学のことが分かっていても、繊維の技術がなかった。また、当時は炭素繊維市場もそう大きくなく、欧米のビジネスモデルに合わなかったのでしょう。日本の場合、繊維産業の蓄積した技術力を背景に、特殊な糸、新合繊などを開発してきた歴史がある。量の追求とは別の世界を構築してきました。この技術力の差が、日本の優位性につながっています。
――炭素繊維は糸だけでなく、最終製品に向けた中間加工も重要です。
当社(東レ)の場合、初期のころは織物も開発していました。現在は欧米の加工業者が育っています。イタリアの機屋が炭素繊維の糸を買い、世界的なヨットレースの船の建造に参加するといった例もあります。海外の中規模企業が炭素繊維の用途開発を行っている。したがって、市場の7割が海外です。異業種と取り組み、最終製品のニーズを把握し、開発を行うというビジネスモデル。北陸産地はまだ市場が見えていないが、こうした非衣料分野と取り組んでいくのに、まだ遅くはないと思います。
――今後の研究開発投資においても、複合繊維材料を製造する技術開発は重点分野にビジョンは位置づけられました。
2007年に策定された「次世代繊維技術戦略」、これを踏まえたファイバー分野の「技術戦略ロードマップ2007」に基づいて、政府も資金面や税制面で支援してくれます。革新的成型加工技術開発、樹脂マトリックス開発、中間基材の開発(プリフォーム、プリプレグ)などを行い、業界として先端素材産業のフロントランナーとしての地位確立を目指します。




