ITMA2007にみる繊維機械の最新動向/合繊機器・紡績・ワインダー・撚糸機

2007年09月11日 (火曜日)

TMTマシナリー/先進国向け延伸仮撚機

 TMTマシナリーは高速延伸仮撚機と高速ワインダーの新タイプを披露する。

 高速延伸仮撚機の新タイプ「クアトロニップ」は同社独自の「ニップ」タイプをさらに進化させ開発したもので、20~900デニール(22~1000デシテックス)という広範囲な原糸の仮撚りができる。

 しかも仮撚機で一般に使われるフリクションタイプを毎分100メートル以上上回る高い生産性を誇る。

 ニップタイプで用いる2本のベルトを4本に倍増するとともに、クロスして使用する新たな技術とノウハウを加え開発した。中空糸や異型断面糸の高品質生産も可能で、三木勝策副社長営業本部長は、糸段階からの開発に力を入れる繊維先進国を中心に販売する方針を示す。糸切れが少なく、ベルトの寿命が伸び、メンテナンスが簡単という特徴も併せ持つ。

 ITMAではクアトロニップ採用の「ATF21」(24錘立て)でマイクロフィラメント、中空糸、産業資材用極太繊度糸の生産を実演。汎用性と併せて、生産する仮撚糸の高品質性も訴える。

 「マンタ」のブランドで展開する高速ワインダーでは、世界で初めて24エンドを実現した新タイプ(これまでは同社の16エンドが最高)を打ち出す。

 すでに中国中心に販売しているが、欧州での披露は今回のITMAが初めてとなる。高速性だけでなく、レギュラー糸からマイクロフィラメントまで対応できる汎用性もアピールポイントとなる。

村田機械/ボルテックスの最新タイプ

 村田機械は、今回のITMA07に、革新空気精紡機「ボルテックス861」の最新タイプを出展するほか、自動ワインダー「No.21C プロセスコーナー リンクコーナータイプ」、ダブルツイスター「No.3CA エコツイスター」、片山商店と共同開発した多色糸継ぎワインダー「アレンジワインダー」の4機種を出展する。

 ボルテックス861の最新タイプは、新設計のエアノズルとスピンドルを採用することで、これまで課題だった純綿糸での粗硬感を解消した。主にニット糸用途の市場を狙う。ITMAでは16錘の実機を展示、カード糸で毎分400メートル以上の高速紡出デモンストレーションを行うほか、ウールの梳毛紡績も行い、欧州の梳毛企業へアピールする。 得意のセルロース繊維の紡績では、レンチング・ファイバーズの製品展示など共同プロモーションも行う。

 No.21C プロセスコーナー リンクコーナータイプは、これまで世界で40万錘を販売した実績のある機械だが、今回改めて打ち出しを強化し、あらゆる精紡機に対応した汎用性や糸の欠点を検出する「スピンインスペクター」システム、新型ドラムによるリボンレスパッケージ「PAC―D」など、高品質なパッケージを求めるユーザーにアピールする。

 エコツイスターは、単錘駆動型ダブルツイスター。ベルト駆動に比べ、大幅な省エネが可能だ。こちらも20錘の実機展示を行う。

 アレンジワインダーは、高付加価値のテキスタイル作りを進める機業がターゲットだ。複数の色糸を1本の糸につなぐことで、ファッション性の高い生地作りを支援する。これまで海外の展示会ではパネル展示を行ってきたが、欧州の機業が大きな興味を示したことから、今回改めて実機展示を行う。

 このほか、パーツとして自動ワインダー用新型ドラムも出品する予定だ。既存のドラムの常識を覆す画期的な革新ドラムである。木村秀敏取締役繊維機械事業部長は「ITMAは欧州で開催される展示会ということで、中国での展示会とは意味が異なる。当社の技術力をアピールする機種をそろえた。日本のモノ作りの力を見せ付けたい」と意気込みを語った。

神津製作所/3つの独自ワインダー

 ワインダーメーカーの神津製作所はITMAに3機種を出展する。産業資材用の「EKTV―CX」「SSP―MA―CFR」と一般テキスタイル用の「SSP―MV」だ。

 EKTV―CXは炭素繊維用ワインダーで、90%以上のシェアを持つ同社の主力機種である「EKTV―C」を改良したもの。仕掛けの糸を替える際に問題となるテンション、接圧、ワインド数などをコンピュータで一斉に制御。得意先から要望が強まっていたスムーズな糸替えを実現した。あるユーザーと共同で3カ月のテストを重ね、開発にこぎ着けた。

 同社は海外の繊維機械展、複合材料展などに毎年積極的に出展しているが、EKTV―CXは今回のITMAが初めての披露となる。

 SSP―MA―CFRは産業資材分野の一層の深耕を図るため開発したもので、オートボビンチェンジ機能を搭載。あらかじめ設定した巻き取り本数に小割り巻きしながら、定長巻き取りを自動で行う。一般化合繊をはじめ、アラミド繊維やガラス繊維などの高機能繊維の自動小割り巻きに威力を発揮する。小割りのため、省力化、省スペースにも優れる。

 田原四朗取締役営業部長は同社の開発の方向を「市場は小さくても、他社がコピーできないものを作る」と語る。これは一般テキスタイル用でも同じだ。今回出展のSSP―MVは、とくに20デニール(22デシテックス)クラスのモノフィラメントを狙ったもので、従来タイプの毎分800メートルを1800メートルに高速化すると同時に、品質安定性を一段と高めているのが特徴。ワインダーは巻き取りが進むのに伴い、スピードが速くなるが、SSP―MVは終始一定の速度で巻き取りができるため、品質は安定する。

オピニオン/村田機械 取締役繊維機械事業部長・木村秀敏氏

<フレキシビリティーがテーマ>

 繊維機械メーカーにとって最大の役割は、ユーザーである繊維企業が利益を得られる提案をどれだけできるかです。その意味で、今回のITMA2007では、省エネや生産品種に対するフレキシブルな機械に注目が集まるでしょう。

 精紡機に関しては、リング精紡機、オープンエンド精紡機、革新空気精紡機ともに、紡出速度や生産性が依然として重要なテーマです。加えて、コンパクトスピンに代表されるような、従来の精紡機で発生する糸の欠点を克服できるシステムがどれだけ登場するか興味深いですね。

 また、紡績糸が全体的にフィラメントライクな糸の紡出を目指すのに対し、合繊ではスパンライクな糸を作る動きが並行して起こっています。これを両方とも生産できるようなフレキシビリティーのある機械が求められるわけです。同じように、1台で定番糸と差別化糸、織り糸とニット糸など複数の品種を生産できる機械に注目が集まるでしょう。

 一方、これはワインダーや合撚機も同じですが、やはり1錘当たりの単価をどれだけ抑えることができるかという点も重要です。同様に省エネもコスト削減として必須のテーマとなりました。こういった要素を備えた繊維機械が顧客の満足度を高めることができる。

 近年、中国繊維産業の発展に伴い、世界の繊維業界の構図が大きく変化しています。これにしっかりと対応するために、ユーザーの声を聞ける機会として、今回のITMAには期待を寄せています。       (談)