キタセン/帝人PTのカギ握る
2000年01月21日 (金曜日)
「3TKプロジェクトでは、期待の持てる『芽』が出始めた」と西田尚平キタセン社長は語る。「3TK」は、帝人、帝人加工糸、帝人商事の三つの「T」と、キタセンの「K」を組み合わせた意味で、ポリエステルを中心とした原糸開発と織り組織、染色加工の輸出素材開発プロジェクトだ。
昨年は、「ラチェット」「デライト」など欧州向けのファッションテキスタイル輸出が伸びたが、さらに新開発を進めている。
石川県のキタセン根上第二工場は、中・大ロット付加価値定番輸出商品の工場で、染工場につきものの台車が全くなくても生産可能な体制が基本となっている。
コンピュータ制御と合理的な染色機配置により、在来型運営なら三十~四十人の工員が必要なところを十人で賄っている。
キタセンには、婦人服地などファッション素材の大聖寺工場、カーシート、スポーツなど機能素材の根上第一工場を含め三つの工場があるが、この根上第二は染色ノウハウの機密度が最も高い事業所で、工場見学を許していない。
婦人服地では、工程を抜本的に見直し生機投入から染め上げまで、従来十五~二十五日かけていたものを、七~十日に短縮する取り組みを進めている。
帝人PT(プロダクションチーム)は、松山事業所での原糸生産を月次管理から週次管理に変更し、川中段階では、稲山織物・田中忠・第一合繊の織布三社、キタセン・ウラセ・見附染工の染色三社をQR(クイックレスポンス)体制で結ぶ。
大聖寺工場を拠点に、アパレルのワールドに対してコンピュータ・オンラインで結び生産進行度を双方向から把握する狙いがある。
この仕組みは四月から本格稼動を見込む。染色三社では、まず、キタセンがQR構築で先行し、それを他社に展開する予定だ。
「売れないものは作らない」「売れるものを即作る」のQRは、染色部門がカギを握っている。
急激に変容しつつある事業環境に対応するため、PT再編成によるQRの強化が期待されているのだ。
無地調の中にほやけたムラまたは柄が見える外観を醸し出す「ブリザード」加工や、ピーチ加工のパイオニアとしての自負を持つ「FF(ファジーフェイス)」加工、薄起毛タイプで洗い晒し調の概観を得る「スーパーロンダード」加工など大聖寺工場から世に出たが、さらに新しいファッション加工がQR体制で生産されるようになってきている。
十九日に発足式が行われた帝人の「テキスタイル技術センター」だが、その一翼を担う「染色技術開発室」は、キタセンの根上工場内に置かれており、新商品開発を促進している。