話題の素材/シキボウ「セルグリーン」
2000年02月10日 (木曜日)
セルロースの「セル」と、原料である木材パルプを作り出す森をイメージする「グリーン」から名付けられた、ちょっとおしゃれな天然セルロース繊維「セルグリーン」(シキボウ)がテキスタイル業界で話題になっている。
同素材は、オーストリアのレンチング社が生産しているハイ・ウエット・モジュラス(HWM)レーヨン繊維「モダール」を原料としている。同原料は、モリリンが日本へ輸入しているもので、シキボウとの取り組みは拡大を続けている。
「モダール」は、洗濯、染色、加工で安定した性質を持つ。その性質を生かし、さわやかなドライ感またはしなやかなウエット風合いなど、シキボウ独自のテキスタイルノウハウを加えて商品化したニット生地が「セルグリーン」である。
モリリンは、繊維専門商社の武器であるきめ細かいユーザー対応でモダールの市場での評価を高めてきた。
原料となる「モダール」は製造過程だけでなく、製品段階や最終処分での環境負荷が少ない素材として欧州の民間機関が認定する「エコテックス・スタンダード」を取得している。
レンチング社は自ら植林し、計画的に間伐した木材を原料に使うという。
綿やレーヨンなどセルロース繊維は水とのなじみがよく、吸水性、吸湿性に優れる反面、縮みやしわになりやすいなどの欠点がある。
「HWMレーヨン繊維」は、これを解消したもので、「セルグリーン」は、綿を上回る吸水性があり、洗濯耐久性も良好だ。
家庭洗濯しても、繊維表面の毛羽立ちや傷み、繊維のフィブリル化がほとんどなく、快適に着用できる。
シキボウではこの点を重視し、インナーでまず商品開発してきたが、さらにアウターファッション素材を狙った新商品開発にも力を入れている。
新タイプの「セルグリーン商品」である「ドーカス」は、ポリエステルとモダールの複合糸で、ミセス向けの刺しゅうTシャツなどでモノ作りされている。
また、綿とモダールの混紡で強撚糸使いの商品もハリ・コシ感を特徴として好評だ。
嵩(かさ)高性、伸縮性、シャリ感などが出る合繊糸と、しなやかさが特徴のモダールを組み合わせた新しいニット生地も次々に研究されている。




