前田アジア化繊産業連盟会長語る

1999年01月18日 (月曜日)

 アジア化繊産業連盟会長を務める前田勝之助東レ会長は、第一回(九六年)、第二回(九七年)のアジア化繊産業会議で積み上げてきた合繊需給見通しについて「アジアの経済混乱などあれだけの情勢変化があった」と述べ、今年十月に予定される第三回会議では「これまでのものをご破算にして一から議論し直す必要がある」と新たな共通認識の形成が必要との見方を示した。

 前田氏はこの間、アジア地域でポリエステル市況が悪化した問題について、増設による能力過剰と九七年七月からの通貨不安に端を発した経済混乱などが複雑に絡み合い「より悪い方向に動いた」と指摘。不正輸入などを厳しく取り締まり、自給率向上と国内企業保護の姿勢を強めている中国の動きも「この政策が緩まることはない」との見方を示した。

 一方、昨年十一月の日韓台化繊業界会談でも明らかになったように「多少の温度差はあっても各国・地域、各メーカーは市況悪化の事態を認識し、生産調整や増設計画の見直しに動いている」とし、事態は改善の方向をたどっていると強調。最大のポイントは「在庫の整理」であり、改善時期は減産程度と各国経済の立ち直りによると語った。

 こうした中で開かれる第三回アジア会議の具体テーマは、昨年十二月にバンコクで事務局長会議を開くなどし検討しているが、過去の会議で高まったとされる中長期的な需給見通しに対する共通認識も情勢の変化に合わせて、改めて議論すべきであるとの考えを明らかにした。

 こうした重要な意義を持つアジア連盟の運営において日本が果たすべき役割について前田氏は「日本のリーダーシップへの期待は大きい。第三回会議はそれにこたえ、信頼を得る絶好のチャンスだ」と述べ、さらにこうした信頼がベースになってファッションの日本発信などを成功させていけると指摘。第二回会議でも他国から要望があった日本が連盟の常設事務局を担うという問題も前向きに対応すべきだと語った。

 アジア化繊産業連盟会長は九七年十一月の連盟設立以来前田氏が務めているが、規約により次回会議の前日に開催国である中国の許坤元・化繊工業協会会長と交代する。アジア各国には前田氏を名誉会長に推す声が強い。