PTT/デュポンは商標「ソロナ」

2000年04月13日 (木曜日)

 米デュポン社は十一日、1.3プロパンジオール(PDO)を主原料とするポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)ポリマーの商標を「デュポン

 ソロナ」とすると発表、東レ、帝人などをパートナーに繊維での事業化を進めることを明らかにした。PTT繊維は旭化成工業などと組んだシェル・ケミカル社「コルテラ」が先行しており、開発競争が過熱しそうだ。

 デュポンによると十月までに、キンストン工場(ノースカロライナ州)で年産一万二千トン規模の商業生産を始める。将来は五万トンまで拡大できる。繊維化に当たっては地域ごとにパートナーを決める。北米は自社のダクロン事業部門、欧州はサバンチ(トルコ)との合弁であるデュポンSA、日本では東レと帝人、韓国はセハン・インダストリーズ。他の提携相手は数カ月以内に発表するという。

 シェルはすでに、PDOからの一貫で米国に年産六千八百トンのポリマープラントを稼働させており、来年にはメキシコで同十一万五千トンの工場を完成させる。米国の設備も二万トンに増設する計画で、PDD設備は昨年十一月に増設を終え、同七万三千トンにした。

 北米ではコサ、欧州でスペインCDP、日本では旭化成(商標「ソロ」)、台湾で華隆、韓国ではSKケミカルや韓国合繊などをパートナーに世界規模での展開を進めている。三月にはパリで「コルテラ」のファッションショーを開いた。

 「コルテラ」と「ソロナ」の違いはPDOの製法。シェルは酸化エチレンを原料にした化学合成だが、デュポンはバイオ技術を駆使し、とうもろこしに含まれるバクテリアの遺伝子組み替えによって生成する。

 PTT繊維は、ポリエステルの安定性とナイロンの柔らかさを兼ね備えており、(1)ドレープ性に優れたソフトな新質感(2)少しの力で伸び、しっかり元に戻るストレッチ性--などに特徴がある。百十~百二十度で濃く、美しく染まるため、セルロースや天然繊維との複合にも適している。

 PTTを巡っては今後、ポリマー量産化によるコストダウンと高次加工を含む繊維での商品開発という二つの側面から競争が激化することになる。