クラレ/レーヨン長繊維事業から撤退

2000年05月23日 (火曜日)

 クラレは二十二日、レーヨン長繊維事業から撤収すると発表した。来年三月末をもって玉島工場のレーヨン長繊維の生産を停止し、同年上期中に販売も終息する。レーヨン事業に携わる人員(約二百人)は生産停止後、クラレ本体とグループ会社で雇用の場を確保するとしている。

 同社のレーヨン長繊維は十九二八年に倉敷工場で生産を開始し、ピークの七三年には年間二万六千トンに達していた。

 しかし、ポリエステルはじめ合成繊維との競合から市場が縮小。八七年には倉敷工場、九五年には西条工場の生産を中止し玉島工場に絞り込んだが、内外での需要減から生産量は九五年八千トン、九九年七千トンと減少が続いていた。これがコストアップにもつながり、九九年度は改善したものの、二期連続の赤字計上となった。

 玉島工場の設備が老朽化、事業継続には設備更新が必要だが、採算改善が期待しにくい環境で投資の回収は困難と判断、事業撤退を決めた。

 同社の撤退により、国内のレーヨン長繊維メーカーは今年四月に能力を半減し年産約一万トンに縮小した旭化成だけとなる。