連載・技術開発の最先端/変容する公的センターをみる(3)
2000年07月06日 (木曜日)
愛知県三河繊維技術センターは一九二七年に三河染織試験場として設立。終戦の四五年、愛知県繊維試験場に統合された後、四八年に三河繊維試験場として独立した。七三年に蒲郡市大塚町に新築移転し、現在の三河繊維技術センターと改称している。
愛知県は五つの公設試験研究機関を持ついわば公設試王国である。そのうち繊維は三河(蒲郡)と尾張(一宮)に二カ所。尾張が羊毛工業を主な対象としているのに対し、三河は知多、三州、岡崎、三河、豊橋のそれぞれの地域繊維産業の技術的サポーター役を果たしてきた。
知多と三州は綿スフ織物。三河は綿スフ織物、糸染めと整理加工、網・魚網、撚糸・組紐とそして縫製。岡崎は反毛、特紡とガラ紡、紡毛、横編みとそして作業手袋。豊島は魚網である。
三河繊維技術センターは一課(総務)一室(企画普及)二部(技術)一分場(豊橋)体制の技術部制をとっている。技術部は開発技術部と加工技術部に分かれ、前者は織・編み物製造技術や製品の企画設計とデザインの研究指導、品質管理や消費性能試験が主な業務。後者は染色加工技術、産業用資材の原料や製品、縫製技術・製品化技術の研究指導を主業務としている。豊橋分場は品質管理や消費性能試験である。
センターに持ち込まれる技術相談は昨年度四千六百九十一件で前年度より三百七十三件増加した。項目別にみると、分析試験関係が二千二百八十二件で最も多く、次いで紡織七百四十件、網・魚網六百六十五件、染色整理五百九十一件の順となっている。また、業種別では網・魚網製造業(千百四十二件)、織布業(六百五十二件)、紡績業(三百九十八件)、繊維産元業(三百七十五件)、染色整理業(三百七件)などが多い。
企画普及室の三谷和弘室長によると、技術相談内容は紡織関係では織物分解・設計に関するものが多いのに対し、染色技術関係はクレームに関することが多い。
衣料、資材、装飾織物の産地を背景にしていることから織物分析・設計に関する相談は多く、これは昔から変らない。しかし、以前は業界に分解や設計のできる人がかなりいたが、最近は少なくなっておりセンターに対し設計を容易に行える手法やシステムの開発を望む声が強い。同センターが織物設計システム開発に力を入れているのはそうした声にこたえてのものである。




