テンセルのパイオニア/進化する商品開発・提案

2007年09月26日 (水曜日)

豊島、ノウハウ生かし新商材作り

 豊島は「テンセル」のパイオニア的存在の商社である。同素材の供給企業名は、古くはコートルズ社に始まり、その後アコーディス社↓テンセル社↓レンチング社へと変わってきた。豊島はアコーディス社時代からテンセルを手掛け、

“テンセル・ブランド”を育て、国内外に発信してきた。

 同社は当初、三部二課でテンセルを商材として取り上げ、1994年に新しい部署の十部がテンセルを本格的に立ち上げた。三部二課↓十部で、テンセルの原綿、紡績、織布(編み物含む)、染色をオペレーションし、テンセル生地の生産―販売に力を注いできた。

 十部は三課体制となり、テンセルを商材として扱う十部一課が商量の拡大を図ってきた。常にテンセル拡販の指導的な役割と、進化するテンセルテキスタイル作りに注力してきたわけだ。

 コートルズ社時代に「テンセル会」という川上、川中、川下を網羅した、ユニークなグループができた。15年ぐらい前のことだ。2004年5月にレンチング社がテンセル社を買収、2005年5月1日、正式にレンチング社のテンセルとしてスタートした。

 豊島はテンセルNY展や国内のテンセルデーなどにも、積極的に出展してきた。とくに、現在も行われているレンチングイノベーションアジアでは、十部一課が輸出への突破口になった。現在、十部一課の輸出比率は15%前後となり、北米、カナダ、アジア、欧州と輸出市場作りは着々と進行中である。

 十部一課はレンチング社との「取り組み」をさらに強化―進化させていく方針で、商品(原綿)の安定供給と新商品開発に大きな期待を寄せる一方、レンチング社の国内外の販売プロモーションに、積極的に参画することにより、「豊島としての販売シェア作りをしていきたい」と言う。

 十部一課はテンセルをベースに、テンセル複合テキスタイルや綿複合素材テキスタイルで、商材の幅出しを行ってきている。布帛テキスタイルのみでなく、編み地も商材に組み入れることで、布帛、編み地、さらに秋冬・春夏というフルシーズン対応により、川中、川下戦略をさらに強化していく。

 テンセルで培ったモノ作りのノウハウを他素材にも活用することで、商品(商材)の幅出しを行い、テキスタイルビジネスとして成り立っていくよう、努力と研さんを重ねていく方針だ。

 子安光徳部長は「レンチング社が素材・製造に関する環境に十分な配慮がなされていることを痛感した。日本も環境への感心が高まっているなかで、当社としては環境繊維のイチ押し商材としてテンセル、テンセル複合、綿、キュプラ、レーヨンを含め十部として、テンセルのノウハウを生かしたテキスタイル作りに努力する」と語る。

適時適量のモノ作り/新内外綿 “環境紡績”を志向

 新内外綿はテンセル、杢糸、QRシステム対応を3本柱として、業容の維持・拡大を目指す。とくに同社の「モノ作り」については、“ジャストイン・タイム”のトヨタ方式を目指し、ユーザーの顔が見える原糸供給を一つの売りにしている。直系子会社のナイガイテキスタイルには、現在21ラインあり、1ライン1品種、500キロの小さなロットを操り回しながら月間180~200トンを生産し、市場に供給している。

 その柱商材はテンセル、杢糸、ファンシーヤーンなどで月間生産マーク数は200~220点に及ぶ。紡績業における“ジャストイン・タイム”は、ある部分はサービスであるが、これを付加価値に置き換え、売れる量だけ適時供給する紡績に徹し切っている。クイックレスポンス(QR)供給と新内外綿でしか作れない糸作りを実践しているわけだ。

 テンセルと杢糸で全生産の70~80%を占め、杢糸だけで約200マークの商材を供給している。さらにテンセル杢糸で20マーク、テンセル(白色)杢糸も同20マークある。加えて、新内外綿ストック糸(手張り糸)があり、バイオーダー糸については原料の手当て次第であるが、早いものなら、10日、遅くとも20日ぐらいの納期で受注する。受注の最小ロットは500キロを一つの目安にしているが、アップチャージの加算を前提に、300キロまでのバイオーダーも受注する。

 同社の糸を使うテキスタイルメーカーでは、使い勝手が良いことと鮮度が良いことで、オリジナルテキスタイル作りには欠かせないと好評だ。ナイガイテキスタイルのTQC、5S思想が徹底しており、常に「品質第一主義」を掲げるモノ作り集団として、一つひとつの物事や事柄に“大切に、丁寧に”対応することが、より良い商品(糸)供給の源となっている。

 新内外綿はテンセル素材では、紡績のパイオニア的存在だ。テンセルは今では同社の糸、テキスタイルの柱商材に育ってきた。

 ポスト・テンセル、ポスト杢糸を念頭に置いた次の商材(糸)開発も、すでに構想の中にある。トレンド素材としてだけでなく、安定した需要を確保するために、衣料にこだわらず幅広い分野に商材発掘のアンテナを立てる。紡績業の祖業のスタンスを外さず、糸作り、商品作りの「何か」を次の中期3カ年計画に盛り込む方針である。

 同社は今、エコロジー、ロハスの「環境紡績」を志向、その典型商品がテンセルであり、オーガニックコットンである。テンセルもオーガニックコットンも自然と共生する繊維である。

 オーガニックコットンの杢糸7配色、30、40番手の供給をスタートさせた。同糸で編み物を作り、PV展で欧州市場への提案も行った。

レンチンググループ/日本の技術を世界に紹介

 レンチンググループは今月8日、世界で6番目の工場となる中国・南京のレーヨン短繊維工場、蘭精南京繊維(レンチング〈南京〉ファイバーズ)を開業した。日本市場を重視する姿勢はこれまでと変わらない。そのことは、レンチング〈南京〉の開業式に出席した同グループのトーマス・ファーネマン会長(レンチング・ファイバーズ社長)をはじめとする首脳陣が、開業式からその足で来日し、10日に大阪で会見を開いたことからも明らかだ。

 ファーネマン会長はレーヨンわたの販売戦略として、レギュラー品の拡販のほか、精製セルロース「テンセル」、HWMレーヨン「モダール」、難燃レーヨン「レンチングFR」など機能を高めた差別化品の拡大を目指す。そのために重要になるのが日本でのレンチング素材の展開だ。

 「テンセルをいち早く商業化するなど、イノベーションを発揮してきた」とレンチング・ファイバーズのフレデリック・ヴェニンガー副社長テキスタイル部門長は、豊島やモリリン、双日、新内外綿など日本市場でテンセルのマーケットを切り開いてきた日本企業の革新性に期待する。同副社長は「今後、日本の企業が開発した新しい技術や用途をレンチングのネットワークを活用して欧米メガブランドなどに積極的に紹介したい」と日本の技術を世界に向けて発信する考えを示した。

 実際、今期は7月にドイツで開かれた欧州最大のアウトドア用品展示会「ヨーロピアン・アウトドア・トレードフェア」に初出展した同社は、モリリンがテンセルをもとに開発した消臭素材「デオセル」や東レなどと共同で開発した芯鞘構造の特殊複合紡績糸「ミリオンダイヤ」を使った生地サンプルと製品サンプルを展示し、日本発の独自レンチング素材をアピールした。

 同社は今年、日本のテキスタイルメーカーを対象に12月に開かれる「JFWジャパンクリエーション」に合わせて日本素材コンテスト「レンチング ファブリックコンペティション ジャパン」を開催する。各コンセプトの最優秀作品を同社のグローバルマーケティングネットワークを活用して日本発の素材として世界に発信する。