特集・テンセル会グリーンテキスタイル展/環境ファッションの進化披露

2007年11月19日 (月曜日)

豊島のテンセル取り組み/環境繊維を大切に育む

 豊島とテンセルとの取り組みは15年前からで、豊島は常に日本のテンセルのリーダー役を務めてきた。テンセル会は現在、少数精鋭のまとまりのよい集団である。

 豊島のテンセルオペレーションは、十部一課が中心となり、原綿、紡績、生機、染色加工、テキスタイル販売、製品販売までトータルで提案できる商社として国内はもとより、近年は輸出でも着実に実績を上げつつある。基本理念として、常に「環境繊維」を大切に育むという姿勢は変わらない。今回のテンセル会グリーンテキスタイル展でも、テンセル100%はもとより、テンセル複合と加工バリエーションによって、進化したテンセル作りを目指した。豊島十部のオリジナルはもちろんだが、それに加えてテンセル会理事会社として、同会のメンバーと協力しながら、商品作りを進めてきた。

 テンセルを取り扱う十部一課としては、差別化ゾーンと、ボリュームゾーンの2極化対応も心得ており、とくに国内のアパレル、生地コンバーターへの企画提案力を強めていくとしている。今回は、これまでのノウハウやモノ作りの集大成を披露できると意欲的である。例えば、ナチュラルストレッチや、特殊起毛加工・特殊光沢加工・2ウエーストレッチなど加工の進化は、テンセルの進化そのものだ。

 十部一課のほか、十部二課ではウール複合中心で、先染めやジャカードなど、表面効果にこだわったものや、経フィラメント使いや、レースなど光沢のある商品を提案する。さらに、三部二課は、オーガニックコットンと再生ポリエステル関連テキスタイルなどを提案する。

 現在、テキスタイルの市況は良くない。しかしテンセル素材は、セルロース系繊維であり、森から生まれて、土に還るという、地球環境に優しく、人にも優しい。このコンセプトを持つ繊維のテンセルを中心に、グリーンテキスタイルで新しいテキスタイルビジネスと、テキスタイル業界の活性化に貢献できれば、今回の展示会の意義は大きいと考えている。

倉庫精練・テンセル加工/複合素材加工 多彩に

 テンセルの加工は、倉庫精練第一事業部が担当している。窓口はテンセル取扱商社の豊島十部一課だ。この第一事業部は旭化成せんいのベンベルグ裏地加工も行っており、同事業部加工売上高のほとんどを占めている。

 エコロジーファイバーメーカー(レンチング・テンセル、旭化成せんいベンベルグなど)とエコ染色の組み合わせによる、環境に優しいテキスタイル加工に注力している。

 テンセルをベースにした各種複合素材織物も多様で、テンセルとナイロン、シルク、CSY、再生繊維(ビスコースレーヨン)、綿などとの複合テキスタイルを、薬品、薬剤に配慮しながら加工しており、生分解性加工には同業他社にないノウハウと実績を持つ。

 同社では、豊島とのコラボのなかで、バイオ加工の進化、有毛織物(起毛やコーデュロイ)の特殊加工、ナチュラルストレッチ、さらにはカラーマジック加工などを訴求する方針だ。

 具体的には、綿×テンセル、綿、ポリウレタン弾性糸との複合テキスタイルのバイオ加工物(ビンテージライク)は、まさしく匠の技術と自負する。

 また、カラーマジックは染めとコーティングの複合加工で、原反洗い加工も同社の技と匠が生きた加工である。

モーリタンとグリーンテキスタイル/他にないオンリーワン素材

 モーリタンはテンセルや綿、レーヨン、キュプラ等のセルロース系繊維を軸にした複合素材ニット生地の企画、生産、販売を行っています。今回のグリーンテキスタイルエキシビションにも「地球にやさしく、人に心地よく」というテーマに沿った開発商品を出展します。

 今回の出展にあたり、開発のポイントとなったことは、素材の組み合わせと加工技術の洗練です。とくにスタンダードテンセルを用いたニットテキスタイルでは、高度な加工技術が不可欠であるためオンリーワン素材となっており、出展素材として、スタンダード原綿100%、綿混、キュプラ混、それらとポリウレタンを組み合わせたストレッチ素材を用意しました。スタンダード原綿ならではの独特の肌触りは他では表現できませんし、綿やキュプラとの複合では新感覚の風合いが生み出されます。用いた加工技術も、数種類の酵素を駆使したり、化学的処理ではなく物理的処理を駆使したりするなど、環境に十分配慮しており、原料から生産、廃棄にいたるまで地球に優しいテキスタイルになっています。

 その他の開発商品では、テンセルとカシミヤ複合およびそのストレッチ素材の無地とメランジで優しい肌触りに軽さ、暖かさをプラスしたものや、後加工により表面変化をつけたもの、ラメを入れたものなど、他にはない、面白いものを見ていただけると思います。

レンチング社アジアパシフィックディレクター・トーマス・ガイドシック氏/グリーンテキスタイル展に注目

 昨今の経済のグローバル化に伴い、繊維産業に限らず、天然資源の縮小や環境破壊、温暖化現象、エネルギー源の確保問題など、環境面での影響を受けています。とくに消費者の環境に対する意識の変化は、繊維産業の在り方を大きく左右するものとなっています。

 その結果、テキスタイルのサプライチェーンの在り方も大きく変わってきています。最終製品がどのように製造され、どのようなブランド名で、どのように販売されているかという、モノ作りから消費者が製品を手に取るまでの背景をよりクリアにする、トレーサビリティーを求められるようになってきました。企業のサスティナビリティーや社会的責任のプレッシャーは、今後ますます強くなると想定します。

 そんななか今回、テンセル会が開催するグリーンテキスタイル展は、このような市場の変化、ニーズに対応したものであり注目しています。テンセル会がグリーンファッションを市場に紹介することで、環境に配慮したモノ作りのアプローチがまさにトレンドであり、かつ実用的なモノ作りが可能であることを証明していただくことを期待しています。

◆テンセル会とレンチング社について

 レンチング社とテンセル会は、10年以上前から継続的な強いパートナーシップを維持しています。引き続き、とくに環境への意識が高まってきた繊維産業で互いに「アイデアを植え込み合い(=plant・ideas)たい」と思います。

◆環境繊維「テンセル」について

 リヨセル繊維(テンセル○R)などのセルロース繊維は、農作物を育てることのできない荒れた土地などを利用して成育した樹木を原料としています。レンチング社のセルロース繊維は、老朽化が進み、焼却処分してしまうような樹木を有効活用、天然由来の木材パルプを原料としていることから、まさに環境対応素材であるといえます。

 セルロースパルプからできたファイバーは、カーボンニュートラルな繊維で、天然カーボンサイクル(セルロースは光合成により製造される)の一環であるといえます。この自然のバイオ処理の過程では、水や空気中の二酸化炭素が太陽エネルギーを吸収することによりオーガニックな物質(植物)に変化し、植物からは酸素を空気中に放出します。

 セルロースは自然界では重要な原料であり、豊富に存在します。セルロースパルプの原料とテンセル○Rの革新的な完全循環型製造技術が、コラボレーションすることでできる未来の繊維テンセル○Rは、エコフレンドリー(eco―friendly)でエコノミカル(eco―nomical)であるといえます。