ifst/検査能力さらに向上へ
2008年01月16日 (水曜日)
【上海支局】伊藤忠ファッションシステム(ifs)を母体とする検査会社「上海中紡伊紡織技術検験服務(ifst)」は、2004年12月下旬の営業開始以来、丸3年が過ぎた。吉田功総経理によれば、07年度(1~12月)決算では累積損失を解消して、配当が可能になった。今後は、さらにナショナルスタッフ(NS)の水準向上を図る。
ifstは繊維製品を主な対象とする検査会社だ。試験検査結果を出すだけでなく、問題のある素材や商品に対する具体的な改善方法を助言できるという特色を持つ。伊藤忠商事の1組織からは50年以上、ifs系の検査会社としては36年にわたって日本国内で培ってきた経験と技術が、その背景にある。
同社は、ifs(53%出資)と中国紡織情報中心(CTIC)、上海中大科技発展の合弁企業として04年8月に設立された。CTICは中国紡織工業協会の1構成組織で、中国国内に12カ所の検査センターを持ち、中国紡織工業検測ネットワークを形成する。ifstは「紡織工業〈華東〉面料検測中心」としての業務も行い、同ネットワークの一翼を担う。上海中大科技発展は捺染関連特殊薬剤と機能性薬剤の開発会社で、その特殊機能性加工ノウハウや薬剤開発能力がifstに加わり、繊維製品への多面的な技術指導を可能にする。
ifstは06年に「計量認証合格証書(CMA)」を取得し、中国内販品に関する試験機関資格を得た。中国における日系検査機関として初めて、中国内販商品の品質検査を1社完結型で行うことが可能になった。
吉田総経理によれば、試験検査した商品の仕向地別内訳は、金額ベースで日本8割、中国国内2割と対日が圧倒的。中国国内向けの拡大が今後の課題となる。在中国日系商社は欧米向けの輸出拡大に力を入れているが、バイヤーが欧米系検査機関を選ぶため日系には注文が回ってこないという。
今後の課題として吉田総経理は、中国人スタッフの水準向上に一層注力することを挙げる。同社は「工場ではなく病院」で、その「財産は人」という。個人の持つ能力に業務の信頼性が大きく掛かる業種であるだけに、長期にわたる人材育成が不可欠になる。試験検査に当たる現業のスタッフは10人(うち日本人出向者1人)で、発足時より2人増えた。中国人スタッフは全員、大学で専門的な基礎能力を付けており、その具体的な対応力や技量を高め、知識を深めることが課題になる。