重布の魅力訴える/あすまでキャンバス展

2008年03月06日 (木曜日)

 キャンバスやテント・オーニングなどのキャンバス製品専門ビジネスショー「キャンバス・ジャパン2008」があす7日まで東京ビッグサイト東6ホールで開催されている。建築・建材展の特別企画展であるキャンバス・ジャパンには関連企業41社が出展し、国内初のキャンバス専門ビジネスショーを盛り上げている。

すだれ風から太陽電池まで

 キャンバスなど重布市場は苦戦が続いている。装飾テントは小規模小売店が大型量販店などとの競合でが漸減傾向。テント倉庫は改正建築基準法の施行による影響が少なくない。トラック幌に使用する帆布はアルミボディー化やトラック販売不振が響いてる状態だ。

 こうした厳しい環境下での開催となったキャンバス・ジャパンだが、会場は店舗総合見本市のジャパン・ショップ、建築・建材展との同時開催もあって活況。出展者も新商品の出品や新提案を行う企業もあり、そのブースには来場者が多かった。

 NI帝人商事はすだれをイメージした「SUDALEE」を日本初披露した。テント地に穴を開け、2枚の生地を組み合わせることで、日よけにもインテリアにもなるもの。「フランスのムーブル・パリ(パリ国際家具展)で提案し好評を博した」(繊維資材部キャンバス資材課の西田理恵子主事)という。

 専門商社の高島(東京都中央区)は、重布加工大手の平岡織染(同台東区)と共同開発した膜材一体化太陽電池“ソーラーフィルム”を打ち出した。曲面でも施工できる点が特徴で「同展でパートナーを探したい」(i―ソリューション事業本部営業企画ユニットの横幕友靖氏)と意気込む。

 高島はまた、クラレ、ターポリン製造のクラレプラスチックス(大阪市北区)との共同出展だが、クラレの軽量帆布「パワロン―P」帆布も提案。既存品のロールも並べて、その軽量感を実感できるように工夫を凝らした。

 平岡織染は独自ブースで新技術として、制電加工や消臭メッシュ、メディア用の二酸化炭素削減シート(ターポリン)などをアピール。同社と並ぶ重布加工のカンボウプラス(同中央区)は光触媒機能により防汚性能を有するテント倉庫用膜材料「ダイナスター」に対する関心が高いという。

 カンボウプラスと同じダイワボウグループのダイワボウプログレス(同)は帝人ファイバーのペットボトル再生繊維「エコペット」使いのテントをメーンに出品したが、それ以上に「紙繊維製帆布によるカバンへの関心が高い」(産業資材営業部の岩城宏之副部長)という誤算。

重布の良さ訴える

 同展で最大ブースを構えた専門商社の泉(大阪市北区)はグループ企業のショウワ(同中央区)と加藤(東京都千代田区)との共同出展で、東レのペットボトル再生繊維「リサイクロン」のテント製品を出品したほか、幅広い出展。テント最大手の膜構造物大手の太陽工業(大阪市淀川区)ではやはり業界をリードする光触媒に対する関心が最も高く、質問する来場者が多かった。

 先月28日、テント・シート地卸大手の俣野(大阪市淀川区)が民事再生法を申請するなどテントなど重布市場を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。この数年の原燃料高騰も収益の足を引っ張っているのも事実だ。

 ただ、建築・建材展の特別企画展ながら、仕切りもなく一体化された展示会でもあるキャンバス・ジャパン。重布に関心が薄いかもしれない建築・建材関係者に重布という伝統的な繊維資材の良さを訴える面では効果がある。そう思えるほど会場は予想以上に賑わいを見せている。会期はあす7日まで。