攻めと守りの両輪(3)商社3月期・大手商社編(2)

2008年05月29日 (木曜日)

伊藤忠商事/純利益205億円 大台を突破

 伊藤忠商事繊維カンパニーは、純利益が前期比19%増の205億円と7期連続で最高益を更新し、ついに200億円の大台に乗せた。トミーヒルフィガー・ジャパンなどの投資有価証券売却益などが増益に大きく貢献した。

 売上高は低効率のビジネスをやめ、取引、資産の中身を大幅に入れ替えたことで14%減の6906億円。減収だったものの、関連会社の経営権譲渡などによる連結対象企業の減少による落ち込みを除けば、売上高、売上総利益とも実質横ばいを確保した。

 利益ではブランドマーケティング第一、同第二、繊維原料・テキスタイル、ファッションアパレルの順で貢献し、4部門すべてが増益、単体としては過去2番目の最高益だった。

 好調な事業会社はコンバースフットウエア、ロイネ、マガシーク、伊藤忠ホームファッション、ユニコ、エヌエフシー、シーアイショッピングサービスなど。

 今期は、新規ビジネスの拡大とM&A(合併・買収)の推進、海外事業と事業会社の収益力強化を通じて純利益220億円を見込む。

丸紅/減収も黒字化 リストラ奏功

 丸紅繊維部門は、売上高が前期比8・6%減の3437億円、売上総利益が4・7%減の236億円と、アパレル製品と素材の減収で売上総利益では減益となった。原料、テキスタイル取引や、低収益のOEM(相手先ブランドによる生産)製品事業など不採算部門のリストラなどにより、営業利益が145%増の39億円、前期24億円の純損失から黒字化し21億円となった。

 4月1日付で繊維部門と資材・パルプ部門を合併しライフスタイル部門を設立。人員は350人、売上規模は5200億円。衣料を中心にフットウエアや人工皮革などを加えることで選択肢を拡大し、取引先に総合提案を図る。今期から来期に掛け、寝装品分野も含めてすべてのOEM事業を子会社に移管する予定。45億円の純利益を計画する。

豊田通商/旧トーメン商権見直しが完了

 豊田通商生活産業・資材本部の繊維事業は、売上高が2675億円、営業利益が33億円、経常利益が34億円と、収益とも前期比でほぼ横ばいだった。単体では旧トーメンの商権見直しや商権移管、貸し倒れで収益が悪化したものの、事業会社と海外現地法人が利益面で貢献。連結事業会社7社全体の売上高は37%増の655億円、経常利益が40%増の5億5500万円と大幅な増収増益で、赤字子会社はなくなった。海外事業は香港、上海、タイの3現地法人を合わせた売上高が39%増の296億円、経常利益が91%増の10億7000万円だった。

 今期は旧トーメンの商権見直しがほぼ完了したことから収益ともに大幅増を計画。ブランド戦略の拡大、物流改革での効率化などを進め、売上高2790億円、営業利益51億円、経常利益49億円の増収大幅増益を計画する。