染色特集/我が社のアピールポイントはここ!

2008年07月23日 (水曜日)

コニカミノルタIJ/インクジェットでエコ訴求

 コニカミノルタIJは、テキスタイル染色で環境・エネルギー負荷を大幅に削減したインクジェットプリントシステムの展開に注力する。

 インクジェットプリントは、従来のプリントと比較した場合、多品種・小ロット加工やQR対応、環境への配慮などといった優位性を持つ。とくに環境負荷については大幅な低減と安全性の向上を実現。同社のインクジェット技術をテキスタイルプリントに適用することにより、従来のプロセス比・環境負荷で150分の1・染料投入量で200分の1・廃棄材料で30分の1・エネルギー消費量で2分の1――の削減を達成するという。

 ヘッドやインク、ソフトに至るまで、すべてを自社開発する同社は、窓口を一本化し、素早いサポート体制を確立。トラブルが発生した場合でも顧客のニーズに対応した素早いサービスが可能だ。主力機は高速・高精細のインクジェットプリンタ「ナッセンジャーV」。同機はテキスタイル用に新たに開発した小液滴・高密度多ノズルインクジェットヘッドにより、鮮鋭性と高濃度の品位を両立し、布用プリンタとしては最速クラスのスピードを実現した。さらに滑らかなグラデーションや微妙な色調を再現できることから、衣料品のほか寝装、のぼりなど、様々な用途で活用されている。

三木理研工業/低ホルマリン剤拡販へ

 仕上げ用加工剤、高機能加工剤などを製造販売する三木理研工業(和歌山市)は、低ホルマリングリオキザール樹脂やホルマリンキャッチャー剤の販売拡大に取り組む。

 今年3月、残留ホルマリン濃度の基準値が改正され、「1%以下」という厳しい水準となった。1%以上でも問題はないが、1%を超えると様々な付帯義務が課せられることになった。三木理研工業は以前から、形態安定加工などの際に効果を薄めることなく、低ホルマリンを実現する樹脂を開発していた。今回の規制強化によって市場の要望が高まると見られていることから、「改めてPRを強化し、迅速に顧客のニーズに対応していきたい」(中川和城専務)と話している。

 また、顧客から防炎剤、難燃剤への要望が多数寄せられていることから、これらの問題点を解決した触媒の開発に力を入れる。例えばカーシートに防炎・難燃加工を施しても、太陽光や摩擦、洗浄によって効果は薄れていく。剤の多くはハロゲンを含んでいるため、ダイオキシンの問題が指摘される。安全性を重視すると効果が薄くなるというジレンマがつきまとうわけだが、中川専務はこれを「薬剤関連メーカーにはチャンス」ととらえる。仮に、これまでの薬品が使えなくなると、代替が必要になるためだ。同社もこの機を逸しないために、開発を続ける構え。

クラボウ・エレクトロニクス事業部/インクジェットで新BM

 クラボウ・エレクトロニクス事業部の安川洋情報システム営業部長は「原燃料高、染料不足など染色加工場は厳しい局面にあるが、従来通り、染色加工場に対し、色彩関連技術、各種自動化技術を結集し、工場の効率化をサポートする」方針を示す。

 ミヤコシ(千葉県習志野市)と共同開発したインクジェット捺染機「TXP―18A」もその一つ。これを活用して、染色加工場の新たなビジネスモデルの構築を支援する。

 ミヤコシのテクノセンターで各種評価のための試験機によるプリントテストを実施中だが「これまでインクジェット捺染機では難しかったロイヤルブルーやレッド、オレンジなどをくすむことなく表現できる」ことから、ある染色加工場が高い関心を示していると言う。

 また、染料自動軽量化装置でアウキッチン3000、アウキッチンRV・などバリエーションを強化。生産計画システム「アウプローバ」は「体験版ソフトを無償配布するとともに、有料セミナーを開催しながら、カスタマイズする」手法を採る。すでに染色加工場では7工場で稼働実績がある。

北広ケミカル/染色加工場へ最適提案

 北広ケミカルの西口修執行役員営業部統括は現在の繊維加工薬剤、染色薬剤の販売状況について「原油価格の高騰が継続しており、販売先、当社ともに影響は大きい」と話す。

 同社では原料価格の高騰に合わせ、4月から販売価格を上げる交渉を続けてきた。しかし、原油価格高騰の幅が大きく、長期にわたっていることから「時期が遅れるにつれ、高い価格を提示しなければならず、さらに、それが交渉を長引かせる要因となる」(西口執行役員)と指摘する。

 そうした状況下、同社は2007年に共栄社化学の繊維加工薬剤の販売権を譲り受けたことで、無機物化合物やアクリルなどのエマルジョン、脱気・浸透・消泡剤などの製品分野が充実、既存顧客への提案を充実させてきた。

 合わせてシリコーン柔軟剤、撥水剤など、元来同社が得意としてきた分野でも扱い品種を増やしている。

 国内の染色加工場は少量多品種への対応がより強まっていることから、これに適した供給体制、製品ラインアップの構築を続ける。また産業資材分野など新規分野でも、これまで蓄積してきた衣料テキスタイルの技術が応用できる分野には積極的に取り組み、販路を広げるとしている。

ハンツマン・ジャパン/不織布・自動車に焦点

 ハンツマン・ジャパン(兵庫県神戸市)はグループ全体として不織布と自動車に焦点を当てたプロジェクトを展開しているが、日本法人もそこに重点を置いている。不織布用ではノンハロゲンタイプの防炎剤「フロバン」、防カビ剤「ヒュンギテックス」などを武器に攻める。

 主力の染料はエネルギー削減や時短など付加価値を高める方針に変わりはないが、原燃料高などに伴うコスト上昇とその価格転嫁作業に追われ「新製品のプロモーションが遅れている」(増永昌弘テキスタイル機能材事業部長)と言う。染色ぶれが少ない反応染料「ノバクロンNC」もその一つで、現在は試験販売中にとどまっている。

 6月出荷分から染料を値上げしたが、さらに追加値上げせざるを得ない状態。6月出荷分からの値上げは陥没価格の是正もあって、従来に比べ5~40%もの値上げを実施したが、原燃料続騰で追いつかず、追加値上げでは品種によって倍以上の値上げもあり得るとする。

 同社は4月から販売代理店に在庫機能を移管し物流の効率化を図ったが、供給不足を背景にした仮需もあって、4~6月の販売量は前年を上回ったという。