探・企業戦略/デサント/「ヒートナビ」を水平展開

2008年10月10日 (金曜日)

 デサントは08秋冬の戦略素材として「ヒートナビ」を帝人ファイバーと共同開発した。今秋から全社水平展開を開始し、10ブランドの秋冬商品の主力アイテムに採用する。初年度は13万点、小売価格ベースで17億円の売り上げを計画している。

環境配慮型の新保温素材/帝人ファイバーと共同開発

 ヒートナビは、太陽の発する光の波長領域を余すことなく吸収する特性を持つ炭素系無機物質を練り込んだ新開発の繊維を使用することで、積極的に保温する環境配慮型の画期的な素材。商品の下げ札や店頭での広告販促物を統一したイメージで展開する。10月にはヒートナビフェアを全国で展開し同商品を訴求する。

 ヒートナビの特徴として、・クリーンエネルギー・積極保温・リサイクル繊維・軽くソフトな風合い――が挙げられる。クリーンエネルギーである太陽の光を効率よく利用した蓄熱型の保温素材で、特殊な断面構造で光吸収効率を向上させる。扁平の特殊な断面形状のため、表面積が約1・3倍程度に広がり効率的に光を吸収する仕組みとなる。

 繊維の中に練り込んだ炭素系無機物質が、太陽の発する光の波長領域を余すことなく吸収する特性を持つため、効率よく光を熱に変える。この繊維を使用した生地は、未使用生地と比較し約5℃暖かくなる。

 ヒートナビを裏地に使用する場合、表地と中わたで太陽光中の可視光線はある程度ブロックされるが、表地や中わたを透過する目に見えない赤外線を効率よく取り入れて熱に変換する仕組みとなる。

 素材には再生されたケミカルリサイクルポリエステル繊維を使用。商品の多くはデサントエコ商品基準の再生材料使用型や省エネ推進型に該当する。また、特殊な断面構造でソフトな風合いを実現するため、薄手の生地にも使用できる。合計10ブランド、93品番での展開となる。

 店舗展開では、各ブランド共通の広告販促物を作成し、手で触って感じるモバイルキットなどで店頭展開を行い認知度向上を図る。また、10月10日から順次、全国のヒートナビ取り扱い店舗でヒートナビフェアを開催。期間中対象商品を購入した消費者にエコバッグを進呈するなどの販促を行う。

デサントの「地球環境快適化宣言」

 デサントは、同社が定める環境理念に基づく「地球環境快適化宣言」の下、地球環境保全に取り組んでいる。同宣言が掲げる3つのマニフェストは「オフィスで地球の環境を快適にする」「モノ作りで地球の環境を快適にする」「スポーツテクノロジーで地球の環境を快適にする」。デサント・チームマイナス6%活動でCO2排出量を削減するほか、デサントエコ基準を制定し商品での環境対応を積極的に進める。

 デサントエコ商品基準はD―1からD―6まで6つの類型に分かれる(表参照)。D―1は一定量以上の植物由来生分解性材料を使用した商品「バイオマス型」、D―2は一定量以上の再生材料を使用した商品「再生材料使用型」、D―3は・リサイクル・システムが確立された商品・使用後、リサイクル(マテリアル、ケミカル)しやすい構造にした商品――の「リサイクル型」、D―4は生産工程で従来品より環境への負荷を減らした商品「エコプロセス型」、D―5は着用や使用することで、涼しいとか暖かいなど冷暖房機器に頼らず省エネに貢献する商品「省エネ推進型」、D―6はD1~D5以外で環境保全に貢献する商品「環境保全型」となる。

 また、機能素材の開発により省エネ環境下でも快適に過ごせるウエアを提供していく。