東洋紡「ザイロン」訴訟/ドイツの2州と和解へ
2009年02月23日 (月曜日)
東洋紡は19日、米国でのPBO繊維「ザイロン」繊維を用いた防弾ベストに関し、ドイツの2州(バイエルン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州)から連邦第四巡回区控訴裁判所に控訴されていた損害賠償訴訟について、原告らに90万ドル(約8400万円)支払うことで和解したと発表した。
同訴訟は東洋紡アメリカに対して、独2州がザイロンに関する損害賠償請求を米ミシガン州西地区連邦地方裁判所に2006年6月に提訴していたもの。訴訟の対象となった防弾ベストは、原告らが米国の防弾ベストメーカーであるセカンドチャンス社から同社の独子会社を通じて購入したもので、ザイロンが使われていた。セカンドチャンス社は04年10月に米連邦破産法に基づく破産申請をしている。
同訴訟は東洋紡に対して不適当な法廷地であると判断したこと(不便宜法廷の法理)や、また東洋紡アメリカに対する裁判管轄権がないと判断したことから、それぞれの原告の訴えを却下する旨の決定が下されていた。原告らはこの決定を不服として、連邦第四巡回区控訴裁判所に控訴していたが、和解に至った。
和解の内容については東洋紡が和解金を原告らに支払うとともに、原告らが同件で同社に対するその他の請求を放棄する。今期の業績への影響は軽微であり、業績予想の変更はない。現在、防弾ベストに関連して米国政府やセカンドチャンス社との訴訟など米国で同社を被告とする複数の訴訟が係属している。