ユニチカ/構造改革で新中計/ナイロン撤退、紡織縮小
2009年03月24日 (火曜日)
ユニチカは19日、構造改革を骨子とする新中期経営計画「改革,11」(09年度~11年度)を発表した。ナイロン長繊維の撤退、宮川工場(ウール)の閉鎖、常盤工場(綿紡織)の縮小など繊維事業を中心とした不採算事業の見直しや従業員の削減なども含めた固定費も絞り込む。
会見した大西音文社長は「09年度は前年度以上に厳しく、不透明。事業構造改善と固定費削減からなる構造改革まずありきの中期計画。厳しい業績下で多額の特別損失が発生するが、あえて断行することにした」と説明。100億円の構造改善費用の計上もあり、08年度の純損失が140億円(当初予想10億円の黒字)となることを明らかにした。
構造改革ではユニチカファイバー宇治工場でのナイロン長繊維(年産8500トン、売上高60億円)からは今年9月までに撤退する。一部品種は岡崎工場に移管するほか、モノフィラメントは生産を継続する。
ユニチカテキスタイル宮川工場(毛紡績、染色)は今上期中に撤退。設備は廃棄し、自社生産から撤退し、外注工場への生産委託で事業を継続。同常盤工場は今期中に紡績錘数を2万2000錘減らし1万5000錘に縮小。こちらも外注への生産移管で販売規模は維持する。
また、繊維事業ではユニチカサカイの関連会社である森田テキスタイルの清算も行う。また、繊維事業ではさらなる体質強化策として、衣料繊維でグループ企業の統合なども初年度に実施する計画だ。その他、環境事業の再構築、電子基盤事業のユーアイ電子の売却なども進める。
一方、固定費削減ではグループ従業員で150人を削減する。45歳以上管理職の希望退職を募るとともに、嘱託社員の契約期間満了に伴い退職を勧める。さらに、1月から実施している役員報酬の25~50%カットに加え、管理職、従業員の年収を平均18%削減する(当面、09年度まで)。これにより09年度だけで50億円のコスト削減を見込む。
負債3年で約300億円削減
新中計では構造改革に加え、機能資材メーカーとしての成長戦略の基盤を固めるほか、企業体質・株主資本の強化を課題に掲げ、最終年度の11年度には売上高2090億円(08年度見通し2120億円)、経常利益105億円(70億円)、純利益65億円(140億円の赤字)を目指す。また、有利子負債は08年度の1997億円から最終年度に1700億円に、自己資本比率は5・8%から13%に高める。
グループのコンセプトを「機能素材」とし、ナイロンフィルム、高機能樹脂、不織布、産業繊維、PLAなどバイオプラスチックを強化する。3年間の設備投資は145億円と減価償却費(215億円)内に抑える。
大西社長は「厳しい環境下で、目新しい内容ではないが、外部コンサルタントも導入し、実現の蓋然性は高い。着実に実行し、収益基盤を確立したい」と強調した。