クラレ クラリーノ事業部「クラリーノ・ティレニーナ」/生産本格化に向け着々

2009年03月19日 (木曜日)

 クラレのクラリーノ事業部は、環境対応型人工皮革「クラリーノ・ティレニーナ」の用途開拓を強めている。スポーツシューズを中心に、インテリア、雑貨などあらゆる用途へ提案、これまで天然皮革しか使えなかった用途へ新たな需要を訴求する。

 渡辺久一クラリーノ事業部長によると、クラリーノ事業部の売上高の構成比はシューズが45%、ランドセル、手袋、雑貨などが35%、衣料、インテリアが各10%を占める。今期は消費の低迷に加え、主力のシューズ用途が合成皮革、布帛など低価格品に流れたことがあり苦戦した。7割を占める輸出が円高を強く受けた影響もあり「販売量が1、2割落ち込む」見通し。ティレニーナの生産設備への投資負担もあり、利益面では赤字を見込む。

 昨年9月から生産の軌道が乗り始めたティレニーナについては当初目標にしていた生産量に比べ半分程度の50万メートルの販売量になる見込みであるものの、順調に用途開拓が進む。薄くて強く、適度な伸度を持ち、染色性の良さから従来の人工皮革「クラリーノ」とは違った素材としての販売戦略を描く。

 年間で12億平方メートルの市場があるといわれる天然皮革に変わる新たな素材としてもティレニーナを提案。カンガルー皮の使用が多いサッカーシューズといった高級ゾーンのシューズを中心にインテリアや雑貨など多用途へ販促する。高級靴用途の人工皮革「パーカッシオ」でもティレニーナタイプの開発を進めている。

 現状は試験設備で生産するが、今年9、10月には第1期として年間250万平方メートルの設備が立ち上がり、生産が本格化する。2011年に第2期としてさらに年間250万メートルの生産設備を導入するが、渡辺クラリーノ事業部長は「なるべく早期に実現したい」と、順調に市場開拓が進めば計画の前倒しも示唆する。