クラボウ/綿なのに燃えにくい/グラフト重合「イブリック」

2009年06月10日 (水曜日)

 クラボウはこのほど、電子線グラフト重合加工素材「EBRIQ(イブリック)」で、綿100%防炎加工素材の開発に成功した。10日から開く「2010春夏クラボウ繊維事業部展」で披露する。7月から販売を開始し、初年度売上高1億円、3年後に5億円を目指す。

 イブリック防炎は、綿に難燃機能モノマーを分子レベルで繊維分子にグラフト(接木)することで高洗濯耐久性を持ち、機能を半永久的に持続させることできる。

 今回の開発で、日本防炎協会の防炎マーク認証に必要な毒性審査コードも、難燃性モノマーをグラフト重合した繊維が登録され、防炎製品の認定も取得した。特許も申請中。ユニフォーム、ホームファッション、アウトドア用途などで販売する。

 近年、消費者の安全志向が強まるなか、防炎素材の市場も拡大傾向だ。一方、綿100%の防炎素材は、素材としての取り扱いやすさからニーズが高い半面、元来が燃えやすい素材のため通常の加工では高い防炎性を持った素材を開発することが難しかった。これに対し、クラボウでは独自の加工技術である電子線グラフト重合加工を活用することで、日本防炎協会の認定基準に合格する綿100%防炎素材の開発に成功した。

 イブリックは、繊維に電子線を照射し、機能モノマーを分子レベルで繊維にグラフト重合することで綿などに機能を付与した素材。クラボウではこれまで抗菌、消臭、湿潤発熱、接触冷感の4機能素材を開発していた。今回のイブリック防炎の開発で、5つのラインアップ展開することになる。