クラレ「クラリーノ」、台湾くつメーカーと提携
1999年02月06日 (土曜日)
クラレは人工皮革「クラリーノ」事業で、柱の一つになっているアジアの米国向けシューズメーカーへの素材供給ビジネスを強化するため、世界最大のシューズメーカー、台湾・宝成工業との取り組みを強化。宝成が中国広東省に昨年六月に建設した造面加工場へ技術指導を行うとともに、マイクロファイバー使いの生機を独占供給する。
中国、インドネシアなどアジア地域のシューズメーカーはナイキ、リーボックなど米国のスポーツメーカーへシューズをOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。しかし九七年後半から需要が落ち込んでいるため、「素材メーカーとシューズメーカーがタイアップして商品企画・提案力を強める」(小田晋作取締役クラリーノ事業本部長)ことで反転攻勢をかける。
宝成は台湾、中国のほかインドネシア、ベトナムにもシューズ工場を保有しており、カジュアルシューズ用を含めて、新加工拠点から素材を供給する。
クラレは米国、欧州(イタリア)、中国(浙江省)、ASEANの海外四地域に造面や染色の加工拠点を設け、日本からの生機輸出を増やしている。輸出に占める生機比率は三〇%弱。加工拠点とは資本関係を持たず、いずれも契約ベースでの取り組みだが、今回のように製品メーカーと組んだケースは初めて。
「クラリーノ」は昨年十二月から年産三百万平方メートルの増設分が立ち上がり、既存と合わせ千五百五十万平方メートルの設備を早期にフル稼動させる方針で、海外加工拠点をさらに拡充・強化することにしている。