ひと/東レの次期社長に内定した・日覺昭廣氏/根っからの現場人間
2010年04月01日 (木曜日)
「根っからの現場育ち」。自身を、そう表現する。1973年の入社以来、工場設備の建設現場など、工務関連の事業に従事してきた。その過程で培った「現状把握力」と「問題解析力」を武器に、荒波の時代を切り抜ける。
2月9日、榊原定征社長から次期社長就任を言い渡された。「メーカーの基本はモノ作り。現場の実務に強いことが彼の特徴だ」。榊原社長が語る。しかも、米国やフランスの駐在経験もあり、「グローバルな視点にも優れている」。経営企画室長として現社長を支える「右腕」としての実績も、高く評価する。
東レの強みは「研究開発力」と「コスト競争力」にあると語る。当面の成長領域は、「ほぼナンバーワンの地位を占めつつある」水処理事業だ。「榊原社長が進めてきた路線を維持しながらも、RO膜を中心にこの分野を大きく伸ばしていきたい」。しかし、そうは言っても祖業の繊維をおろそかにするわけではない。「売上高の40%は繊維。重要な事業には変わりがない」と強調。「アジア、とくに中国では事業拡大のチャンスがある」と、海外に活路を見いだす方針だ。
現場人間は、スポーツマンでもある。中学・高校時代はバスケットボールに興じ、大学時代には少林寺拳法で汗を流した。ただ「この年齢で体を鍛えると逆に壊してしまうので」と、今は散歩程度に止めているという。
(にっかく・あきひろ)
1949年、兵庫県生まれ。73年、東レに入社後、2004年、常務取締役エンジニアリング部門長、06年、専務取締役水処理事業本部長、エンジニアリング部門長などを経て、09年から代表取締役副社長水処理・環境事業本部全般担当、経営企画室長。10年6月の株主総会後に社長就任予定