帝人/アラミドのアジア生産検討/新たな高機能繊維開発中

2010年04月07日 (水曜日)

 帝人のアイソ・W・A・アルバータ・フォン・エッケンシュタイン常務執行役員アラミド繊維事業グループ長は2018年度までにパラ系アラミド繊維を倍増の4万5000~5万トンに拡大するとともに「アジアでの新設も検討する」考えを示した。

 倍増設は「安全、省エネ、高機能、メンテナンスフリーなどのメガトレンドに合致する素材として年率7~8%成長が見込める」ため。そしてグローバル展開を行う上ではコストが重要とも指摘。既存の日本、オランダ生産だけでなく、タイや中国、さらにベトナムなどアジア生産も「真剣に考える」としており、今後2年間で生産地の評価を行い、決定する構えだ。

 また、エッケンシュタイン常務執行役員は「当社の強みは顧客と連携した商品開発と技術サービス」とも強調。新規参入組みの韓国企業や事業を目指す中国企業など、パラ系アラミド繊維事業も競争激化が予測されるが、売上高の4~5%という研究開発費を継続しながら、品質の向上や新素材の開発を加速。「価格ではなくカスタムメードによる競争をする」考えを示す。また、新しい高機能繊維の開発も進める。

 「現在、二つの新しい高機能繊維を開発しており、その一つは10年度下期には公表する」予定であることも明らかにした。もう一つは開発途上で、事業化には3~4年掛かる見通し。

 すでに開発済みの新素材である「サルフロン」は、パラ系アラミド繊維「トワロン」短繊維にゴムとなじむ薬剤を付与することでタイヤゴムの発熱を抑え、耐久性能が向上するほか、磨耗性も改善する特徴を持つが「リーマンショックの影響で本格展開は遅れている」と言う。

 トワロンパルプの新製法で機能紙向けジェットスピニングパルプやフィラー(添加剤)向けで、トワロンとは異なるパラ系アラミド繊維「テクノーラ」によるパウダーはサンプルワークの段階にとどまっている。