ニシヤマテキスタイル/ニシヤマテキスタイル4月末で営業活動停止/商権をクラボウに譲渡
2010年04月26日 (月曜日)
別珍・コーデュロイ専門卸のニシヤマテキスタイル(大阪市中央区)が4月末で営業活動を停止し、自主廃業することになった。商権はクラボウに譲渡する。西山政弘社長は「クラボウに商権を譲ることで中小企業主体の別珍・コーデュロイ業界に大手の力が加わることになる。そのための捨石になる」と理由を説明する。
同社は、1980年創業の別珍・コーデュロイ専門卸。現在、別珍・コーデュロイだけを扱う問屋としては唯一の存在である。おもに天竜社産地から生地を調達し、ピーク時には年商23億円を計上していたが、輸入製品の増加など別珍・コーデュロイ業界全体の縮小で、現在は年商1億円となっていた。ただ、利益面では30年間黒字を維持してきた。
それでも自主廃業を決めたのは、西山社長が年齢的に引退を決意したことに加え、業界を取り巻く環境が厳しさを増すなか、別珍・コーデュロイ業界も再構築の過渡期に入ったとの考えがある。西山社長は「別珍・コーデュロイ業界は中小企業の集合体。なんとか大手企業の力を業界に加えたかった。利益が残っている段階で当社がクラボウに商権を譲ることでそれが可能になる。業界存続のための捨石になろうと考え、クラボウに事業継承をお願いした」と話す。
また、同社は染色加工の大部分を大和染工(静岡県浜松市)に発注していたが、大和染工が受託加工事業から撤退したことで、今後はクラボウの徳島工場で加工を行うことになった。クラボウではデニムなどを扱うテキスタイル第2部が別珍・コーデュロイを担当する。商権移管後もニシヤマテキスタイルの会社自体は当面存続し、円滑な商権移管のためにクラボウへの協力を行う。
西山社長は「会社勤務時代から合わせると、55年間別珍・コーデュロイ一筋でやってきた。年齢的にもこの辺が引き際。今後はクラボウが徳島工場の加工技術などを応用して、新しい売り先を広げるなど頑張ってほしい。そのために協力もする」と話す。
クラボウ・藤原秀則テキスタイル第2部長の話 もともとニシヤマテキスタイルとは連携しており、当社がニシヤマテキスタイルの商品を担ぐことも多かったので、自然と話がまとまった。西山さんは業界のリーダーなので、引き続き協力をお願いした。デニムとコーデュロイは近い業界。相乗効果を出していきたい。
天竜社綿スフ織物構造改善工業組合・小久江貞喜理事長の話 ショックだが、近々引退するとの話も聞いていたので覚悟はしていた。別珍・コーデュロイの環境は厳しく、産地でも機屋の仕事が激減している。事業を継承するクラボウには頑張ってほしい。そうでないと、本当に産地はやっていけない。