レンチング・イノベーション・イン・東京2010/各社商品紹介
2010年05月20日 (木曜日)
モリリン/「テンセルクール」前面に打ち出す
モリリンは原糸グループ、ニットマテリアルグループ、GMグループ、繊維資材部の素材関連4部署が共同で出展する。
注目は夏のニット製品向け新タイプ紡績糸「テンセルクール」。「テンセル」と東レの異形断面ポリエステル長繊維「セオ アルファ」を組み合わせた精紡交撚による長短複合糸で、テンセルの柔らかさとヒンヤリ感、セオ アルファの吸水速乾性、紡績糸表面の毛羽立ちが少ないなどの特徴が、さらさらでさわやかな肌触りを実現する。染め糸ブック展開で、これに合わせたミシン糸も展示する。
ニットマテリアルグループは「マイクロモダールエアー」とUV効果のある「モダールサン」をアピールする。マイクロモダールエアーは、究極の軽さと極細さを追求した繊維で、直径0・8デシテックスを実現した。モダールの風合い、吸水性はそのままに、一段と高まった上質感と軽量感は、高級インナーに最適な素材として訴求する。
双日/「レンチングFR」の難燃、快適性アピール
双日の化学品・機能素材部門機能素材本部ファイン・機能素材部大阪機能素材課は、難燃レーヨン「レンチングFR」をアピールする。
レンチングFRはモダールをベースにリン系難燃剤を練り込んだ難燃レーヨンで、半永久的に持続する難燃機能を持ち、洗濯しても機能が落ちない。また、柔らかな風合い、吸湿性が快適性を高める。アラミド繊維と補完的に組み合わせたスペックは世界的な評価を得て、消防の防護衣料などに加え、アルミ工場などで働く人向けのユニフォームなど民需用途も広がっている。
今回展ではレンチング社からセールス担当ディレクターが来日、26日に会場で「レンチングFR プロテクティブの体温調節機能と生理学的パフォーマンス」と題したセミナーを開き、難燃性と快適性をアピールする。中安一仁課長は「協働できるパートナーを見つけ、販路を広げていきたい」と意欲を見せる。
ユニチカトレーディング/素材特性と特殊紡績を融合した高品位商品群
ユニチカトレーディングは、レンチングイノベーションに、「シルフ―AI」「パルパー」「シルフ マイクロ」などの商品を出品する。同展ではリヨセルの優れた特性と差別化紡績手法の融合により生まれた高品位商品群をアピールする考えだ。
出展する「シルフ―AI」はやさしい風合いのリヨセルと軽くてふくらみのあるアクリルを組み合わせた商品。また、特殊複重層紡績糸「パルパー」は、芯と鞘の素材を選定、組み合わせることで様々な表情・風合いが表現でき、根強い人気を誇っている。そして「シルフ マイクロ」はリヨセルの優れた特性とユニチカトレーディングの独自紡績手法とを融合させて開発した商品で、細番手でありながら均繊性に優れ、毛羽の少ない特殊紡績糸となっている。
桑村繊維/「テンセル」の良さ引き出す
桑村繊維からは今回もファブリック部が参加する。「『テンセル』の良さをいかに引き出すかが我々の仕事」(杉本均大阪営業所長ファブリック部長)という考えから開発した多彩な新素材を披露する。
今回は「テンセルLF(ローフィブリル)」を本草木染めした“100%植物性”素材や、テンセルのダブルガーゼにオーバープリントを施した素材、松井色素化学工業所の新規繊維着色剤「ダイストーン」とテンセルのトップローンを組み合わせた素材などを提案する。“環境”を大きなテーマと位置付けている。
同部ではテンセルの扱い量が増加しており、現在3割程度になっている。展示会では「1反から販売」という見込み生産によるリスク販売の優位性や、100%国産素材にこだわっている点などもアピールする考えだ。
クラボウ/「テンセル」で「ニューヤーン」
クラボウは、独自の特殊紡績糸「ニューヤーン」の「テンセル」使いを提案する。ニューヤーンは、住友商事のニュージーランド子会社であるサミットウールスピナーズの革新紡績法をベースにクラボウと住友商事が共同開発した紡績糸。従来のリング精紡法とはまったく異なる膨らみ感や風合いに特徴がある。通常のリング精紡のテンセルでは難しいドライタッチなど独特の風合いを出すことに成功した。テンセル・ウール・ナイロン混のニューヤーンも用意する。
ニューヤーン以外にも、テンセル・ウール混、テンセル・キュプラ混、テンセル・綿混の丸編み地を提案する。同社では「通常のテンセル100%糸使いでは海外品と差別化できない。テンセルと他素材の良さを融合し、海外で作ることの難しい商品をそろえた」と話す。
シキボウテンセル・綿混で「CMY」
シキボウは、戦略素材「デュアルアクション」の原糸である特殊精紡交撚糸「CMY」を「テンセル」・綿混にも応用した織物などを出展する。
テンセル・綿混のCMY使い織物は原糸に114双級を使用。緯糸にポリウレタンを打ち込むことでストレッチ性も持たせた。CMYによる毛羽の少ない生地表情はテンセルでも注目を集めそう。
ニット生地では、芯にトリアセテート長繊維、鞘に「モダール」を配した長短複合糸使い「チコリーノ」を提案。テンセル・綿混紡糸を得意の連続シルケット加工したものもテンセルの特徴を引き出す加工素材であり、シキボウらしい商品といえる。
篠原テキスタイル/機能デニムと子供服提案
デニムメーカーの篠原テキスタイルはテンセルと機能糸を使ったデニムや地元子供服メーカーと取り組んだテンセル使いのデニム製品を披露する。
同展に向け、テンセル60%、温度調節素材「アウトラスト」40%で7・5オンスのデニムを開発した。テンセルの持つ肌に優しい自然の機能に、アウトラストの機能を加えた高付加価値デニムだ。
また、地元の子供服メーカー、瀬尾(広島県福山市)とテンセル使いのデニムで子供服を製作する。瀬尾は日本製の子供服「パーティーチケット」、を展開。従来、綿、麻などの素材中心に地場テキスタイルメーカーで、オリジナル生地からこだわって生産してきた。テンセルを使った製品は今回が初めてだが、実際に売れる商品を作り、展示会で紹介する。
新内外綿/見どころはラメ混紡
新内外綿は、「テンセル」・純銀ラメ混紡使いなど紡績技術に立脚した独自のニットテキスタイルを提案する。テンセルのトップ染め杢糸「ビスコチェント」にラメを混紡した糸使いのニットテキスタイルだ。ラメ使いは交撚などが主流で、混紡はあまり例がない。混紡するラメも特殊な純銀ラメを採用することでシルケットなど後加工しても変色やはく離が起こらない。また、極薄タイプのラメのため、肌に触れてもチクチク感がなく、インナーなど肌に触れる用途への展開も可能だ。
通常のビスコチェントも既存の8色に加えて、ブルー、ピンク、グリーン、パープルの4色を追加した。テンセル・ポリエステル混紡のスラブ糸使いを反染めして染め分けることでゼブラ調などを表現する「ビックリヤーン」使い、テンセル100%のネップ糸「パーティセル」使いも用意。
同社では「通常のテンセル100%糸や混紡糸では海外品との差別化が難しい。他社がまねできない紡績技術に立脚した商品をアピールする」と話す。




