ユニクロ×東レ/「戦略的パートナーシップ」の第2ステージへ/取引額累計4000億円へ
2010年07月21日 (水曜日)
ユニクロと東レは20日、「戦略的パートナーシップ第2期5カ年計画」に関する合意書を締結したと発表した。(1)魅力のある商品開発を進め、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中の消費者に提供すること(2)両社協働でグローバル規模での取り組みを拡大し、日本企業連合による世界での新たな成長モデルを作ること――を推進し、2011年~15年までの5年間で両社の取引額累計4000億円を目指す。
第2期5カ年計画を締結
柳井正会長兼社長は「この5年間は計画を大幅に上回る素晴らしい成果を出せた。それは東レとの協力関係なくしては成しえなかったこと。今後は世界中で作って世界中で売っていくことを推し進め、川上から川下までの共同事業が各国でできればと思っている。全く新しい世界企業を東レと一緒に作っていきたい」と力強く宣言した。
ユニクロと東レの協力関係は、1999年に防寒アウターの素材を採用したことからスタートした。06年3月には、新商品の開発・企画を協働で取り組むことを目的に、「第1期戦略的パートナーシップ」を締結。SPAと素材メーカーの境界線を越え、素材から製品の販売に至るまでの一貫した商品開発体制を構築し、記録的な大ヒットを記録した「ヒートテック」をはじめ、「シルキードライ」「スタイリッシュホワイト」「マシンウォッシャブルセーター」などを生み出してきた。10年までの5年間累計取引額は、計画を大幅に上回る2400億円となった。
東レは(1)研究開発の強化(2)グローバルでの生産体制構築――を加速させ、ユニクロとの取り組みを深化させる。国内では石川工場のユニクロ専用ラインで大規模オーダーやQR対応などに対応。海外ではとくに中国・南通の東麗繊維研究所〈中国〉有限公司(TFRC)を活用し、研究開発の充実を図る。また、生産体制では原糸からテキスタイル、縫製など中国国内の拠点を拡充。チャイナ・プラスワンの対応としてタイやベトナム、マレーシアの各拠点のほか、このほど新設したバングラデシュの編み・染め・縫製の一貫生産会社を生かし、グローバルでの拠点構築を押し進める。
日覺昭廣社長は会見で「日本企業が連携して新たな世界市場を構築したい」と、グローバルで両社が拡大する姿勢を強調。そのため「東レの総力をあげてユニクロとのパートナーシップを推進したい」と話した。また、杉本征宏副社長はユニクロへの東レ幹部の出向について「あらゆる可能性は否定しない」と述べたうえで、「今後は出向社員の拡大もあり得る」と、両社一体となった商品開発の強化を改めて語った。
「東レは繊維の基礎研究に真剣に取り組んでいる世界で唯一無二の企業。2つの企業の取り組みだが、あたかも1つの企業のように今後も取り組んでいきたい」と話す柳井会長兼社長。両社の従来の協業の枠を超えた取り組みは、日本から世界へ向けてかじを切り始めたようだ。