ユニクロ×東レ/「ヒートテック」戦略/販売目標は7000万枚
2010年10月25日 (月曜日)
ユニクロと東レは22日、東京で機能性インナー「ヒートテック」の共同会見を開いた。ユニクロは10年度、全世界で7000万枚の販売を計画。東レは、ヒートテック専用の縫製拠点をフィリピン、ベトナム、バングラデシュに広げる。チャイナプラスを加速し、15年度には中国以外の生産拠点を現状の20%から50%にまで拡大する意向を示した。
ユニクロ/世界戦略のキーアイテムに新宿・品川駅構内でも発売開始
「ヒートテックは冬の日本の生活を変えたと自負している」
会見の冒頭、ユニクロの柳井正会長兼社長が語る。戦略的パートナーシップを結ぶ東レとともに開発を進め、03年の発売以来、これまでの累計販売枚数は1億枚以上。昨年は5000万枚の売り上げを記録した。民間の調査によると、機能性インナーでは他社の10倍以上の支持率を得るなど、圧倒的な知名度を誇るという。柳井会長兼社長は「保温性だけではなく、着心地の良さなど服の可能性を広げた商品」と強調。「あらゆる人に、本当に良い服を着てもらいたい」と、“ジャパンテクノロジーの結晶”を過去最大規模のグローバルキャンペーンでアピールするとした。
ヒートテックは、(1)発熱(2)保温(3)抗菌(4)ストレッチ(5)静電気防止(6)形状保持(7)吸汗速乾(メンズ)、保湿(レディース)――など、7つの特徴を持つ。人体から発せられる水蒸気をレーヨンが吸着して発熱。マイクロアクリルの繊維と繊維の間に形成されたエアポケットの断熱効果により、保温性を発揮する。また、セット性が高い特殊ポリウレタン弾性糸とポリエステル長繊維が生地のベースになっていることで、洗濯を繰り返しても型崩れしにくい設計を採用した。
今シーズンは、メンズ27種類、レディース77種類、キッズ21種類の合計125アイテムで展開する。レディースではトレンカや手袋を新たに投入するほか、キッズのバリエーションを拡充する。価格はメンズ・レディースで990円と1500円、キッズが500円と790円の2ライン。
今期の販売目標は7000万枚。そのうち、日本以外での売り上げは10~15%を見込んでいる。
また、ユニクロは新たな取り組みとして、JR新宿駅と品川駅の構内にヒートテック専用ショップ「UNIQLO POP UP STORE」を23日から期間限定でオープンした。「Suica」やクレジットカードでの決済が可能なほか、商品を全5アイテムに絞り込むことで、来客者が短時間に買い物ができるよう、利便性を高めた。開店期間は両店舗とも12月10日までで、各店で10万枚の販売を計画する。
東レ/専用ラインでチャイナプラスワン/15年には50%まで拡大
東レは、ヒートテック専用の縫製拠点を東南アジアに拡充する。
現状の縫製拠点は中国がメーンで、80%を占める。中国沿岸地域での人員確保難や人件費の高騰を受け、今後はバングラデシュやベトナム、フィリピンで縫製拠点の強化を図る。とくにバングラデシュでは、ヒートテック編染縫製一貫の新工場「TM TEXTILES & GARMENTS LTD.」を設立。月産で生地70万メートル、縫製100万枚の能力を持つ1期ラインを今年4月に稼動させ、来期には2期ラインの増設を目指す。今後は、EPA・FTAを活用することで、第3国での縫製比率を15年度には現状の20%から50%にまで高めたい考えだ。
杉本征宏副社長は「アセアン地域に拠点を拡大し、縫製品での供給を強化したい」としている。