東レ/宇宙服素材を日常生活で/宇宙の技術を消費者へ訴求

2010年10月28日 (木曜日)

 東レは27日、宇宙船内服開発に使ったナノテクノロジーを応用した素材を、一般衣料で展開すると発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「JAXA COSMODE PROJECT」のブランドとして訴求する。

 今回発表した素材は、スポーツ衣料用消臭素材「ムッシュオン」とユニフォーム用消臭素材「ナノアージュ」。両素材は、J―Space(東京都中央区)との協力で、洗濯のできない宇宙船内で、汗などから発生するアンモニアの臭いを素早く消臭し、快適に過ごすために開発したもの。地上の生活では清潔さを維持するために洗濯が必要なことから、東レが開発したナノスケール加工技術「ナノモディ」によって繊維内部を改質し、繊維そのものに高度な消臭機能を持たせた。また、日常の洗濯にも耐えられる洗濯耐久性も付与した。ともにアンモニアの臭いを抑制する特徴を持ち、80%のアンモニア消臭率を誇るという。

 ムッシュオンは吸水速乾性を持つ消臭素材。消臭機能は家庭洗濯50回後でも同等のレベルを維持することが可能だ。主にスポーツインナーウエアやジャケット、パンツ類での展開を狙う。11年春から発売を開始し、初年度10万メートル、3年後には25万メートルの販売を計画する。

 工業洗濯に対応したナノアージュは、工業洗濯50回後でも汗や尿などから発生するアンモニア臭の消臭効果を維持する。ワーキングウエアや介護・医療用ウエア、オフィスウエアなどユニフォーム用途全般に11年春から提案を進め、初年度10万メートル、3年後には50万メートルの販売数量を見込む。東レとJ―Spaceは今後、宇宙空間での快適な生活のために開発した技術を日常生活にスピンオフ(派生)させ、JAXA COSMODE PROJECTのブランド名を付与することで、一般消費者へのアピールする考え。同日に東京で会見したJ―Spaceの多屋淑子社長(日本女子大教授)は「プロジェクトのロゴマークを付け、ウェブショップなどを通して一般消費者への浸透を図りたい」としている。