縫製関連機器特集/世界を相手に日本から情報発信/美馬大道実行委員長に聞く・JIAM2012の開催意義

2011年02月10日 (木曜日)

 日本縫製機械工業会は、2012年9月、大阪市住之江区のインテックス大阪で「JIAM2012OSAKA」を開催する。前回の海外(シンガポール)での開催から国内に回帰するだけでなく、出展者を幅広く集め「新生JIAM」として、新しい日本の見本市として世界に情報発信する。新生JIAMに向けた意気込みを美馬大道実行委員長(ペガサスミシン製造会長)に聞いた。

――2010年は縫製業界に様々な変化が出た。

 海外メーカーも含めた競争が激化し、機種によっては単価下落が進んでいる部分もあります。各種の原材料、生産工場の人件費などが上がり生産コストが高くなっています。さらに日本のメーカーにとっては円高が進んでいることも大きな問題になっています。

 しかし、とりまく環境が厳しい中でも、販売台数が回復し、「何とかなる」という気運が高まっています。また、必要な部分では価格改定も行い、当社だけでなく、部品メーカーとともに利益を適正な形で確保できる体制が見えてきました。

 今後は、日本のメーカーとして、中国のミシンメーカーとの競争をどういう形で展開していくかが大きなテーマになってくると思います。

――その「乗り切る方法」が今回のJIAMに見えてくる。

 当然、そのようになってくるでしょう。これまでも、品質と精度の追求は日本の縫製関連メーカーにとって強みであり、不変のテーマでした。JIAM2012では、このテーマを目に見える形にしたいと考えます。

 現在、日本企業の中で「世界市場を相手にする」という雰囲気が広がっていますが、ミシンメーカーは、かなり早い段階から取り組んできました。そのノウハウを持った業界が改めて大阪で情報発信を行うということで、多方面から期待と注目が集まっています。

 海外から見ても、再び日本で開催する意義は大きいと思います。前回開催は需要の中心地で日本の製品を見て頂きたいという狙いを持ってのシンガポール開催でした。しかし、ここ数年で中国を中心に日本への渡航環境は大きく変化しています。

 観光目的というわけではありませんが「日本へ行く」というモチベーションがJIAMの集客にも追い風をもたらすと思います。

 今後は政府関係者にも協力をお願いしながら、パキスタンやバングラデシュなど中国以外の新興需要地の関係者も来場しやすいような環境を整える必要があると考えています。

――日本の出展者にもメリットが多い。

 コスト面が軽減され、さらにミシンメーカーだけでなく、それを支える中小の部品メーカーの出展がしやすくなる点に大きな意義があると考えます。日本の部品メーカーが持つ製作技術は非常に高い。そのような企業の出展を一堂に集め、かつ海外来場者に向けてアピールできるチャンスは少なくなっています。部品メーカー側にとっても海外にも販路が広がる機会を得られる好機だととらえていただけるのではないでしょうか。

 また、国内で国際見本市を行うという経験を次の世代と共有し、今後は“後輩”が、このような事案に取り組みやすくなるキッカケにしておかなければと思います。

――「新生JIAM」として素材や副資材などにも出展を呼び掛けています。

 JIAMの来場者は素材や副資材などのユーザーであるケースも多い。とくに垂直統合型の繊維総合企業が多い中国からの来場者にとっては、自分が興味のある多くのモノを見る方がメリットはより大きくなります。

 世界的に見ても、繊維機械の見本市で、関連素材を出展するケースが主流になりつつあります。また、日本の繊維関連の技術を総合的に見せることで、見本市としての価値は、より向上していくと考えています。

 JIAM2012のテーマは「クリエイティブ・リンケージ」ですが、アタッチメントや装置関連、素材や副資材、物流など関連分野をリンクさせ、出展者の中でも“リンケージ”(連携)を意識した構成にしたいと思います。

 現在、縫製関連業界以外の繊維関連業にも参加を呼び掛けているところですが、なかなか良い感触を得ています。呼び掛けは、今後も継続し「新生JIAM」を国内開催する意義をアピールします。幅広く、多くの出展者に集まっていただきたい。

――海外からの出展者募集について。

 この3月以降、「テックスプロセス」や「CISMA」など、関連する国際見本市で、JIAM2012の開催をアピールしています。

 “国際”アパレルマシンショーですから、海外からの出展者にも数多く集まって頂きたい。しかし、そのためには他の見本市と比較した際のJIAM2012としての独自の強みが必要だと認識しています。

 さきほどの、素材メーカーなどの幅広い出展による効果もそうですが、テーマゾーンの設定やシンポジウムの開催などショー自体の催しで、どのようなことができるかを検討しています。

 単なる展示商談会で見本市が成立する時勢ではありません。出会って、提案し、話して、最新の情報交換ができる見本市でなければなりません。

 まだ構想段階ですが、海外のミシン関連の業界団体の首脳を招いて討論会などができないか――などを考えています。今後、より具体的に内容を詰めていきますが、今は「大阪で新しいJIAMをやるぞ」という強い意思表示を行い、多くの人に周知する段階だと思っています。

大阪国際見本市委員会事業部担当部長・愛屋博司氏/「まずは足元から」

 JIAMの運営を委託されている大阪国際見本市委員会の愛屋博司氏にJIAMに向けた進ちょくを聞いた。

 2012年のJIAMは国内開催ということで、中小の企業にも多く出展して頂きたいと考えています。

 出展のための費用、参加を呼び掛ける業種の範囲の選定、最適な小間のサイズなどを検討しています。事前の調査では、出展者を幅広く募るという「新生JIAM」の方針には業界内外から賛同を頂いています。

 2月18、19日の両日にインテックス大阪(住江区)で開催される「大阪ミシンショー&ハンズフェスティバル」の会期中に、最初の概要発表を予定しています。今後、国内の各都市で参加のための説明会を順次、開いていく予定です。同様に海外からの参加者へのアピールも海外の関連見本市にJIAMブースを設けるなど、積極的な誘致活動を進めます。

 また、近年不可欠になっているインターネットを通じてのアピールも重視しています。日本語、英語だけでなく中国語のウエブページを開設し密度の濃い情報発信を開催まで継続していきます。

 目玉となるテーマゾーンなどの内容は、実行委員会と協力し、まだ模索を続けている段階です。多くのアイデアが交換されていますから、具体的な内容が決まり次第、順次、発表していきます。

 前回、海外開催としたことで「日本でのJIAMは終わってしまったのか」との懸念が業界内にもありました。改めて国内開催のアピールを行い、まずは出展者を足元から固めていきたいと考えています。