シキボウ/紡績技術で機能素材/「デュアルアクション」が進化

2011年04月15日 (金曜日)

 シキボウは、紡績技術による機能素材の開発と提案を強化している。このほど開催した素材展示会でも新素材として戦略綿素材「デュアルアクション」の進化版を披露。超強撚精紡による接触冷感生地「デュアルアクションクール」などが高い評価を得た。

 今回の展示会では新素材として超強撚糸使い「デュアルアクションクール」を発表した。デュアルアクション用原糸の特徴である特殊精紡交撚段階で超強撚にすることで、70双級で撚り係数8・5を実現。通常の強撚糸加工では例のないレベルだ。超強撚糸による接触冷感が特徴で、検査機関の試験で効果も確認済み。シキボウによると、今夏の電力不足と節電ニーズを背景に「関東圏を中心に引き合いが急増しており、実際の生産も始まっている」という。

 生地表情の面でも撚りの工夫で新しい表現に取り組む。新たに開発した「デュアルアクションスイング」は異番手の特殊精紡交撚糸を使用した。均一ななかにきれいな凹凸感の表現など独特の生地表情を作り上げる。また、S撚り糸とZ撚り糸の双糸使い「リバースツイスト」も糸がSZ双糸による強撚と解撚のメカニズムが同時に作用することで独特の生地表情を可能にしている。同社では「撚り係数、番手などの組み合わせで、まだまだ無限の可能性がある」(戦略素材企画推進室の国司正三顧問)と話す。

 そのほか、村田機械の特殊渦流精紡機「ボルテックス」による綿糸「STS」も進化。現在、綿100%で80双糸まで生産が可能になっており、コート地用高密度織物への展開を進める。洗い加工などを施すことで、通常のリング精紡糸とは異なる風合いが可能になるため、大手アパレルの関心も高い。こちらも展示会で提案した。

 これら新素材を披露する素材展示会は、今日15日までシキボウ本社(大阪市中央区)で開催する。19日から22日までは、同社東京支店(東京都中央区)で東京展を開催する。