初日は約6500人が来場

2011年04月22日 (金曜日)

 【上海支局】上海世貿商城(上海マート)で開かれている上海紡織服装展覧会は初日の20日、6532人が来場した。4階東側の日中韓テキスタイル展の日本コーナー「Jテキスタイル」には中国アパレルメーカーなどから多くのバイヤーが訪れ、日本のテキスタイルや副資材を吟味していた。上海のアパレルでブランド総監をしている女性は「新しい素材を探したい」と言う。昆山の台湾系企業のアパレルブランドデザイナーは「国産と日本製を比較できるのがいい」と話す。香港の貿易会社のスタッフは「生地を買うだけでなく、提携するパートナーが見つかれば」と語っていた。

Jテキスタイル・会場から~上海紡織服装展2011〈春季〉

豊島国際〈上海〉/密度濃い来訪者

 豊島国際〈上海〉は、レーヨン系や天然繊維による日本製素材をレディース中心に出展している。見やすい場所に展示したファンシー素材に、来場者がとくに関心を寄せた。

 担当者によれば、主催者の上海世貿商城(上海マート)が展示会に合った来場者を選択して招致しているため、ほかの展示会に比べて、生地を本当に探している来客の比率が高いという。

許中紡協副会長/上海マートに期待

 【上海支局】中国紡織工業協会の許坤元副会長は20日夜に開かれた上海紡織服装展覧会の歓迎レセプションであいさつし、「上海世貿商城はプラットホームとして中外繊維産業の交流を促進している」と評価。「今年から始まった第12次5カ年規画ではさらに機能を発揮してほしい」と期待を表明した。

上海茉莉林紡織品/カラーストック提案

 上海茉莉林紡織品(モリリン)は、昨年10月開始の生地カラーストック販売を提案し、新規顧客獲得と拡販を図る。リヨセルLF(ローフィブリル)・綿混などのカットソー生地主体の約10マークを展開して、1反単位で対応。日本製と中国製が半々を占める。野田薫副総経理は、「今後もマーク数をどんどん増やしたい」と語る。

双日ファッション/新規顧客の獲得に主眼

 双日ファッションは、新規顧客の獲得に主眼を置いて出展した。「VANCET」「SEVENBERRY」「奔時代」の春夏物を提案する。同社は、1200マーク、1万2000色をそろえ、小ロット・短納期・現貨での日本からの輸入生地販売システム自体の中国への浸透を引き続き図っている。

新翔国華商貿〈上海〉/「手応え良かった」

 新翔国華商貿〈上海〉(コッカ)は、今回ほぼすべて日本製のプリント生地を出展した。コッカ上海事務所の大本明所長によれば、「出展の手応えは良かった」。今後は、プリントをどのようにシーズン性に合わせ、何をどう展開するかを組み立てていくことになる。さらに、本社企画に基づく中国でのプリント生地生産体制を今年中に確立し、自己リスクによる備蓄販売を始める。

澤村/高額品でも購入可能

 近く上海に現地法人を設立する澤村は市場調査を兼ねて「Jテキスタイル」に出展した。インナー素材では定評のある同社だが来場者の業種を想定しアウター素材も充実させた。人気があったのは超極細ポリエステル使いのツイル。欧州のラグジュアリーブランドの羽織り物などに採用されている。「夜にのぞいた久光百貨の婦人服売り場に来場したSPAの店があった。小売価格を見ると、日本製高額素材も十分購入できそう」(製品事業部・田中友一氏)。

小紋貿易〈上海〉/初日、約30社と商談

 宇仁繊維の現地法人、小紋貿易〈上海〉のブースには初日、約50人が来場した。うち商談したのは約30社。上海と江蘇、浙江省の婦人服アパレルメーカーがほとんどを占めた。同社が販売するオリジナル生地は日本からの輸入品なだけに購買できるアパレルは限られる。「スワッチを送り、新規顧客開拓につなげたい」(板垣泰男副総経理)。

北高/より細かく市場を見る

 北高は、「より細かくマーケットを見て対応する」(高山茂也社長)とし、目先の変わったものを分野別に出展した。レディースでは、合繊の転写プリントを目玉にする。日本で伸びているメンズではインディゴ系に加えて、「冒険かも知れないが」(同)ミリタリー系も中国に提案している。子供用にはニットプリントを拡充する。販売では、商談密度を高めていく。

上海桑村商貿/関心高いがネックも

 桑村繊維と上海桑村商貿は、先染め織物の日本製と中国製を等分に出展している。商品をアピールするとともに中国内販市場の実態や可能性を探るため参加した。上海桑村商貿の鍵田良和副総経理によれば、来場者の関心は高いものの、日本製は価格と生地幅の問題がネックになった。中国製では、来訪者がドレスシャツ生地を求めているのに対し、同社の生地はカジュアル志向という違いも見られたという。

有延商店/インド産パッチワーク生地など提案

 有延商店(兵庫県多可郡)は「中国市場での反応を探るため、海外で初めて出展した」(有延嘉展社長)。同社は先代社長の有延義司会長が50年前に創業した播州織の産元で、かつては輸出も多かったが現状は国内が90%を占める。先染めカジュアル素材を軸に東西のアパレルに提案している。大半が地元播州品だが一部中国品も手掛けており、またインドからも輸入している。今回展ではそのインド産のパッチワーク生地とカジュアル商品を展示し、目を引いている。

マルジュー/ナカモリとともに出展

 マルジュー(名古屋市)は、ナカモリ(蒲郡市)とともに出展した。染工場と織布企業という補完関係にあり、狙いを寝具・ベビー用途に置く。ブースでは、ベビー用の柔らかい多重織りや二重ガーゼなどを提案している。マルジューの増田和久社長は「“ガーゼは安物”という良くないイメージが中国にはあるが、ガーゼの良さをアピールしたい」と語る。