繊技協/GW明け放射線試験開始/カケン、QTECから受付

2011年04月22日 (金曜日)

 海外から繊維製品の放射性物質の非被爆証明書が求められている問題で、ゴールデンウイーク明けにはカケンテストセンター、日本繊維製品品質技術センター(QTEC)が試験受付を開始することが決まった。繊維評価技術協議会(繊技協)の残り6機関も準備が整い次第、試験に応じる。

 繊技協の関係試験機関連携委員会は、繊維製品の放射性物質試験について対応するため、「放射線試験方法検討ワーキンググループ(GW)」(委員長=カケンテストセンター前田容一分析テストラボ長兼技術調査室長)を新設した。

 東日本大震災と原発事故に端を発した放射性物質の風評被害は、繊維業界にも影響を及ぼしている。繊維以外に放射性物質を測定する試験機関はあるが、水や食料が優先され、繊維製品まで試験ができないのが実情。繊技協・中里憲司専務理事は、「日本繊維産業連盟も、政府に放射能に対する国内外の懸念への対応を要望。繊維の8検査機関としてこの問題に対応した」という。

 問題はJISに「放射性表面汚染の測定方法」はあるが、衣料は対象から除外されていること。また、世界的にも衣料に対する測定方法や基準が明確ではないことだ。

 このため、4月から始まった会議では、測定方法と基準についての検討を重ねてきた。20日に第3回目の会議が繊技協で開かれ、ほぼ概要が決まった。

 現在、測定器を保持しているのは、カケンテストセンター、QTEC、ボーケン品質評価機構、日本染色検査協会。試験は、繊維製品の表面汚染測定と、工場内の空間汚染測定の2つである。

 前田委員長によると、「表面汚染は専用の試験区画を設け、GMサーベイメーターを対象物から0・5センチほど離して測定する。試料については、事前にどこで生産したかを聞く」形で進める。

 また、「現在、測定値証明書の統一フォーマットを作成中。基本的に合否証明書ではない。基準となる目安を周辺情報としてどこまで入れるかを検討している」段階だ。

 とはいえ、業界の要望も強く、ゴールデンウイーク明けにはカケンテストセンターとQTECで試験受付を開始する。他の検査機関も準備が整い次第、順次試験受付を行っていく考えだ。